ホントに知ってる? 社会やケイザイのこと? なんとなく知っているはずなのに、質問されると、大人でもうまく説明できないケイザイのコト、幼稚園児でも世の中を知っているシノちゃんが教えます。新入社員の岡本くんと一緒に、みんなの「なぜ? どうして?」を、学ぼう。
子どもが分かるケイザイ! シノちゃんは知っている!
シノちゃん(幼稚園児) ねえねえ、岡本くん。「老後に2,000万円必要」って大人たちが言ってるけど知ってる?
岡本くん(新入社員) シノちゃん、いま話題になってるよね! 僕もいまから老後に備えて2,000万円貯金を始めようって、思ってるところだよ。シノちゃんはまだ幼稚園児だから、お小遣いを毎月2万7,777円貯金すると、65歳で2,000万円になるね。
シノちゃん 私のお小遣い、いま50円なんだけど…。
岡本くん 僕は毎月4万円貯金することにしたよ!
シノちゃん 2,000万円とか貯めなくても、おじいちゃん、おばあちゃんになったら、年金がもらえるんじゃない? 年金だけじゃ足りないの? 岡本くんは将来、年金いくらもらえるか知ってる? そもそも年金の仕組み、分かってる?
岡本くん
え? いくら? 年金の仕組み?? 年金、年金、年金、ねんきん、ねんきん、ねんきん、ネンキン、ネンキン、ネンキン。。。
シノちゃん
ちょっと~! 大人なのに知らないの?
――シノちゃんは知っている! おじいちゃん、おばあちゃんになるともらえる年金のヒミツ。子どものみんなにも分かるように年金のコト、シノちゃんが教えます。
年金ってどういうモノ? シノちゃんがズバリ解説!
1:年金とは、国民が安心して生活できる仕組みのこと!
シノちゃん そもそも「年金」って知ってるかな? 年金は「公的年金制度」という、日本の政府が運営している社会保障制度の1つだよ。社会保障っていうのは、私たち国民が安心して生活できるように国が支えてくれたり、国民がお互いに助けあったりする仕組みのこと。この仕組みは「セーフティーネット」と言われることもあるのよ。
「年金」はさ、おじいちゃん、おばあちゃんになってから助けてもらえるものと考えている人が多いけど、それだけじゃないのよ! 実はもっといろいろな役割がある。これを教えてあげる!
2:衝撃! 年金をもらうのは、おじいちゃん、おばあちゃんだけじゃない!
シノちゃん じゃあ、私、シノちゃんが先生になって、いろいろある年金の役割を教えるよ!
年金の役割は大きく3つ。1つ目は、いまテレビなんかでも話題になっている、おじいちゃん、おばあちゃんの老後生活のための所得保障、つまりお給料のような役割。これは、老齢年金って言うの。
そして2つ目は、事故や病気、または生まれつきの障害があるなどで、身体が不自由で生活することが大変だったり、お仕事ができなかったりする人を助けるための生活保障としての役割。こちらもお給料のような役目があって、障害年金って言うのよ。
あと、もう1つ大切な役割があるの。あんまり考えたくないことだけど、お父さんやお母さんとか、おうちの働き手が死んでしまって、お給料が入らなくなって家にお金がなくなったら、とても困っちゃうよね。そんなときに、残された家族が最低限の生活をできるよう、お金で支えてくれる役割。これは遺族年金と言うの。
おさらいすると、「年金」は老後だけでなく、「今」の私たちの生活も自動的に守ってくれる、セーフティーネットの役割があるってこと。
これから大きくなる子どもも、大きくなった大人も、いろんな役割を持つ年金に、いつか助けられるかもしれない。未来のことは、みんな分からないもんね。「将来、年金もらえないから払いたくない」というのは、ちょっと子どもすぎる考え方かもね。
3:ズバリ年金は厚生年金と国民年金がある!
シノちゃん ところで、助けてくれるかもしれない年金は、払っていないと受け取ることができないって知っている? 日本では、20歳以上60歳未満の人は原則みんな国民年金(基礎年金)の加入が義務付けられているの。義務付けられてはいるけれど、保険料を納めること自体は強制じゃないなから、払っていない人もいるの。
岡本くん シノちゃんは払っていないから、もらえないの?
シノちゃん お父さんとお母さんが払っているもん。加入が義務付けられる20歳になったら私も、払うわよ。
ところで、会社で働く人や公務員として働く人は、勤務先の厚生年金(って何?)にほとんど加入しているの。そして自動的に国民年金(って何?)にも加入していることになっているの。
岡本くん なぜ会社で働く人や公務員として働く人は、厚生年金なのに、国民年金に加入していることになっているの?
シノちゃん 良い質問ね!
会社で働く人や、公務員の人が納める厚生年金の保険料には、国民年金の保険料が含まれているから! これは、2階建ての年金制度ってよく言われているのよ。土台の1階に国民年金があって、その上の2階に厚生年金が乗っているイメージね、会社員や公務員の人たちは。
岡本くん 会社員と公務員の人と、それ以外の人は、住んでいる家の種類が違うのか!
シノちゃん そういうこと! それと、厚生年金は、報酬比例の仕組みになっているの。これは、お給料の額が増えると、その分だけ、納める年金保険料の額と、受け取れる年金額も増えていくっていう仕組みになっているのよ。
自営業者の人は、国民年金だけの加入なので、会社員の人よりも納める年金保険料は定額(令和元年度は1万6,410円)で低いんだけど、その分、将来受け取れる年金額も少ないの。
4:年金はいくら受け取れるの?
シノちゃん じゃあ、実際に年金はいくらぐらい受け取れるの? なんだけど、国民年金(老齢基礎年金)は、満額で受け取れる場合、1年間78万0,100円(平成31年4月以降)。これを12カ月で割ると、1カ月分は約6万5,008円っていうことになるわね。
厚生年金に加入する会社員の人は、この老齢基礎年金と、お給料の額によって変動する報酬比例分を合計した額が年金額になるのよ。ちなみに厚生労働省が公表している厚生年金の平均受給額1カ月分は約14万7,000円(※)らしいわよ。参考にしてみるといいかもね(※平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況を参考)。
おじいちゃん、おばあちゃんになったとき、贅沢せずにつつましい生活を送るなら、この金額でも十分と言えるかもしれないわ。
そもそも老齢年金の役割は、老後生活を助けるため、国が死ぬまで年金の支給を保障するということなの。死ぬまで最低限の面倒を見てくれるっていうのが、老齢年金なのよ。女の人は特に平均寿命が長いから、生きている間ずっと受け取れる年金は、やっぱり重要よね。
ところで、年金の受給開始年齢は、いま現在65歳だけど、将来は、外国の欧米諸国並みに67~70歳まで引き上げられる可能性が高いって言われているのよ。知ってた?
岡本くんみたいに、自分が実際にいくら年金を受け取れるか分からない人は、毎年1回、誕生月に郵送されてくるねんきん定期便で確認することができるわよ。
5:年金、払っていないと、どうなるの?
岡本くん ねんきん定期便…? 宅配便みたい(ワクワク)。
シノちゃん 荷物が届くわけじゃないの! このねんきん定期便は、社会保険庁が発行、発送をしている通知書のことなの。いままでの年金加入期間と、加入実績から、老齢年金の受給見込額が確認できるんだって。
特に、転職や離職などで、年金を納めていない「未納」の時期、空白の期間がある(あった)人はよく注意して。未納期間があると、将来の年金額が減額されたり、障害を負ったときに十分な保障が受けられなかったりということが起こるかもしれないよ。加入実績をよく確認してちょうだいね。
「ねんきん定期便がすぐに見当たらない」という大人は、日本年金機構が運営するインターネットサービス「ねんきんネット」の利用がオススメ! 基礎年金番号やメールアドレスを入力してユーザー登録すると、スマートフォンでも年金記録や年金見込額の確認ができるの。とっても便利よお。
岡本くん シノちゃんって、近所の子どもかと思ってたけど、本当は何者なの?
シノちゃん 次回の「子どもが分かるケイザイ」も、年金のヒミツをもっと深く教えちゃうわよ。お見逃しなく!
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