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『香港リート』は、アジア地域の中で日本、シンガポールに次ぐ3位のリート市場です。個人消費の拡大やオフィス需要の増加などを通じて賃料や不動産価格の上昇が期待されるアジア地域で、安定的な市場の拡大を続ける『香港リート』の魅力についてご紹介します。『香港リート』の業種別構成では8割強が小売セクターとなっており、代表的な銘柄として香港最大規模の商業施設特化型リートであるリンクリートがあります。

 

【ポイント1】上場以来増配を続ける香港最大手リート

 香港では2003年にリート制度が導入され、2005年に香港住宅公団をスポンサーとしたリンクリートが初めて上場しました。リンクリートは、香港住宅公団が管理・運営していたショッピングセンターや駐車場などの物件を取得して事業を開始したリートです。物件の改修やテナントの入替え等を通じた商業施設の賃料上昇を主な収益源とし、上場以来10%前後の増配を続けてきました。『香港リート』市場の最大手リートであり、時価総額で見たシェアは約6割にのぼります。

 

【ポイント2】中国本土への投資を拡大

 賃料収入が主な収益源のリンクリートですが、近年香港での物件を高値で売却し、中国本土の物件を買って香港以上の賃料上昇の恩恵を受けるという投資手法(アセットリサイクル)を進めています。

 昨年秋に、それまで12.5%を上限としていた中国への投資比率を20%まで引き上げる方針を公表しました。現在の中国本土への投資比率は13%程度まで増加しています。

 

【今後の展開】中国本土への投資拡大が継続、低金利環境も引き続き追い風に

 リンクリートの中国本土における物件の選別は非常に戦略的で、今後も優良物件の買収が期待できます。また、2025年までにポートフォリオの規模を年平均5~9%と1ケタ台後半で拡大する方針を掲げています。中国本土への投資比率を引き上げる方針も公表していること等から、香港での安定的な成長に加え、中国本土への厳選した投資の拡大を通じて、1口あたり分配金の成長が続くと見られます。

 世界的な金融緩和の流れから金利が低下し、世界のリート市場は堅調に推移しています。中国本土への投資拡大期待に加えて、リートの相対的に高い利回りは『香港リート』市場の魅力であり、選好されやすいと見られます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。