8月31日:当局がゲート価格値下げを発表、都市ガス各社の追い風に
中国の国家発展改革委員会(NDRC)は8月30日、9月1日付で非住宅用の天然ガス・ゲート価格を1立方メートル当たり0.1元引き下げると発表した(ゲート価格とは長距離ガス輸送ラインの出口価格)。
また同時に、省・市・自治区をまたぐ長距離ガス・パイプラインの輸送料金も値下げするとした。BOCIは今回のゲート価格の調整が国内のガス消費を後押しするとともに、「気代煤」(石炭利用からガス利用への切り替え)プロジェクトを加速させると予想。2017年1-7月に前年同期比16%増加したガス消費が、今回の値下げでさらに増える見通しを示した。個別では都市ガス事業者の新奧能源控股(ENN:02688)、華潤燃気控股(CRG:01193)、中国燃気控股(CGH:00384)の株価の先行きに対して強気見通しを継続している。NDRCはゲート価格の引き下げを発表する中で、都市ガス事業者に対して直ちに、川下向け販売価格を引き下げるよう要求した。
大気汚染対策としてのガス消費の促進や「気代煤」の支援が目的。BOCIは政府当局が今回、長距離パイプラインの輸送料引き下げを同時に発表した点に言及。ガス事業者のROA(総資産利益率)を年率8%に制限する当局方針を考慮し、ゲート価格には一段の値下げ余地があるとしている。
天然ガス消費は1-7月に前年同期比16.2%増の1323億立方メートル。企業活動の回復トレンドや「気代煤」の推進に伴う需要上乗せで好調だった。BOCIは今回のゲート価格引き下げに続く小売価格の値下げを見込み、一段のガス消費の伸びを予想。17年通期予測(前年比15%増の2370億立方メートル)を上方修正する可能性があるとした。
「気代煤」は17年に入ってから順調に進行しているもよう。NDRCを含む関連省庁はこのほど、今冬に向け、北京市、天津市、河北省の大気汚染を防止するための新たな行動計画を発表。10月までには◇石炭を利用している300万世帯以上をガスあるいは電気利用に切り替える、◇北京、天津と河北の一部に“非石炭”エリアを創設する、◇石炭火力ボイラーを対象に利用制限を強化する――など方針を明らかにしている。
BOCIは今回のゲート価格引き下げが、都市ガス銘柄の追い風になるとみている。コスト増を招くことなく、販売量の伸びが期待できるためで、個別ではENN、CRG、CGHなど、ガス販売量の伸びが大きい銘柄を有力視している。この3社の工業・商業顧客向け販売量は、17年に前年比25%以上の伸びを示す見通しという。
一方、北京控股(BEH:00392)に関しては出遅れ感が強いとし、現在株価が1株当たりNAVに対して約50%のディスカウント水準にある点を指摘。値下げの対象となった陝西-北京パイプラインの新輸送料金が予想を上回ったことで、この先再評価が進むとみて、株価の先行きに対して強気見通しを示した。タウンガス(01083)については中立見通しを示している。
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