長期競争力を評価、国内新車販売の低迷で短期的には苦戦も

現地コード 銘柄名
01316

耐世特汽車系統集団有限公司

(ネクスティア・オートモーティブ)

株価 情報種類

 9.83HKD
(7/8現在)

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 中国新車市場の長期低迷や年初からの世界市場の不調、さらに不利な為替変動などを理由に、BOCIはネクスティアの19年6月中間期決算について、前年同期比で1桁台半ばから後半の減収を見込む(予想売上高は約19億米ドル)。これは19年通期予想の「前年並み」を下回るペース。また、利益率の悪化見通しから、上期の純利益については同20-25%減との予測を示した。ただ、同社の受注残は、今後も安定的な増加傾向を示すとの見方。さらにモロッコの生産施設の稼働や国内の新車需要の回復期待を理由に、19年下期の売上高、純利益がともに上期を上回ると予想。コストダウン戦略を受け、利益率も下期に改善に向かうとみている。BOCIは売上高および利益率に関する想定値の見直しに伴い、19-21年の予想純利益を8.3-12.0%の幅で減額修正。目標株価を小幅に引き下げながらも、同社の長期競争力を前向きに評価し、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いている。

 中国の新車市況は世界的にみても最悪の状況にあり、1-5月の乗用車販売台数は前年同期比15.2%減。特に同社の取引先(上海GM、上汽通用五菱、東風PSAを含む)は市場平均より大幅な販売減に見舞われた。こうした環境下で、国内向けの売上高は19年上期に20%以上落ち込む見込み。海外では、北米向けが1桁台前半の減収、欧州向けも小幅の減収になるとしている。

 19年上期には対米ドルで元安・ユーロ安が進んだことも痛手。為替相場は18年末比で安定したとはいえ、人民元とユーロの対米ドルレートは上期にそれぞれ6.0%、6.7%下落した。この要因が上期売上高を3,000万米ドルほど下押しする可能性が高い。

 上期には減収とスケールメリットの後退で利益率も悪化する見込み。ただ、同社経営陣は積極的にコスト管理強化を進めており、下期には利益率の改善が期待されるという。

 一方、減収が見込まれるにもかかわらず、上期には新規受注残が引き続き増加傾向を示した。18年末の252億米ドルから、19年3月末には253億米ドルへ小幅に上向き、6月にはさらに増加したもよう。BOCIは今後も世界的に新車市場が低迷するとの観測(IHS Markitは世界販売見通しと主要メーカーの予想販売台数を下方修正)とは裏腹に、同社の受注残は増加トレンドを維持するとみている。

 BOCIは国内新車市場の低迷や不利な為替変動、さらに予想利益率の下方修正に伴い、19-21年の予想純利益を8-12%引き下げ、それぞれ3億2,200万元、3億4,800万元、3億7,800万元に設定した。下方修正後の目標株価は19年、20年予想PERで11.0倍、10.2倍に当たる水準となるが、現在株価のPERはそれぞれ9.8倍、9.1倍と、香港上場の同業銘柄を下回る。BOCIはガバナンス面の手腕と世界の先端をいくステアリング関連技術を高く評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。