懸念材料が多く、様子見の日本株
「米国株は上がるのに、日本株は上がらない」と言われ出してから長い時間が経過しています。米国主要株価指数はすべて直近で史上最高値を更新しています。米国株が堅調に推移する中では、日本株もそれに応じた値上がりをするのが過去の経験則ですが、現状はそうなっていません。
日経平均株価にしても値下がりしているわけではなく、2019年1月4日大発会の終値1万9,561円96銭よりかなり上に位置しています。ドル建ての日経平均においては年初に約180ドルだったものが現在は約200ドル、年初来高値近辺にあるのです。
にもかかわらず、多くの投資家が日本株の動きに失望を隠せないのは「盛り上がりに欠ける」という言葉に集約されると思います。東証1部の出来高が10億株に届かないことがしばしばみられ、売買代金が2兆円に満たないことが多く、しかし日経平均が目立って売られているわけではないのですからそういう理解になります。
この背景には懸念材料が多いことが指摘できます。「米中貿易摩擦」は日本の外需系企業の業績懸念を生じさせています。7月最終週から8月中旬にかけて、3月期企業の第一四半期決算が控えていますが、ともすれば通期業績見通しの下方修正が相次ぐのではないかと考えられているのです。
FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを強く示唆し為替相場がドル安円高方向に進んでいることも、さらに外需系企業の業績懸念につながります。投資家の「見送り」「様子見」を促すことになるのは不思議ではありません。
この他、10月に控えている「消費税増税」も投資家の動きを緩慢にさせています。増税前の駆け込み需要はあるものの、増税後に個人消費が極度に冷え込むのではないかと懸念されています。個人消費の落ち込みは内需系の消費関連企業に対する業績懸念につながります。7月21日には参議院選挙の投開票が控えていますが、参議院選挙は政権選択選挙ではないことから、今回の消費税増税が回避される可能性はゼロです。このように、内外とも買い手控え材料に事欠かないのが今の状況なのです。
決算発表後や消費税増税後、株価の戻りに期待できる銘柄は?
そこで今回は少し先のことを考えた上で「10万円株」をピックアップしたいと思います。
株式市場の特性として「喉元過ぎれば熱さ忘れる」「知ったらしまい」というものがあります。どのような懸念材料も実際にそうなれば、周知されて株価に織り込めば、その後は懸念材料でなくなるという意味です。現状、日経平均が大きく下げない中で、投資家が様子見を決め込んでいるのですから、決算発表後や消費税増税後、あるいはその直前の時期になるとこれまでとは逆の動きになる可能性があると考えています。
このように考えると、通常(ここ5年間で)10万円以下で投資できることがほとんどない銘柄=投資家の動きが緩慢な中で値下がりし10万円投資圏内にある銘柄、の株価の戻りに期待できるのではないかと考えています。優良株が多い「日経平均採用銘柄」から5銘柄を紹介します。
優良株多数。10万円で投資できる「日経平均採用銘柄」
株価データは2019年7月16日終値ベース。
国際石油開発帝石(1605・東証1部)
原油・ガス開発生産の国内最大手企業、原油価格動向に株価が左右されやすい銘柄です。原油価格の上昇が株価メリットになります。時価総額約1兆4,000億円の大型株です。
・国際石油開発帝石の日足チャート
三越伊勢丹ホールディングス(3099・東証1部)
国内最大の百貨店グループです。2008年に伊勢丹と三越の経営統合で共同持株会社として設立されました。新宿・伊勢丹、日本橋・三越は全国屈指の売上高を誇ります。
・三越伊勢丹ホールディングスの日足チャート
日清紡ホールディングス(3105・東証1部)
綿紡績の名門企業。自動車用ブレーキ摩擦材や精密機器、半導体材料などに多角化しています。工場跡地の不動産賃貸も安定収益源です。他半導体関連株と同様、この春に株価下落に見舞われました。
・日清紡ホールディングスの日足チャート
三井E&Sホールディングス(7003・東証1部)
造船・重機の大手企業です。造船では主力のバラ積み船に加え、防衛省向けの艦艇や海上保安庁向けの巡視船なども手掛けています。業績悪の中で不採算事業の整理・撤退を加速させています。
・三井E&Sホールディングスの日足チャート
日野自動車(7205・東証1部)
トヨタ傘下の普通トラック(積載量4トン以上)製造大手企業です。トヨタ自動車のSUV(スポーツ用多目的車)受託生産なども行い、トヨタ関連で売上の約3割を占めています。海外ではタイやインドネシアなどアジアに強みを持ちます。
・日野自動車の日足チャート
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