【ポイント1】6月の都心5区の『オフィスビル空室率』は低水準維持

新築ビルは低下、既存ビルは上昇

 7月11日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2019年6月の『オフィスビル空室率』は、前月比+0.08ポイントの1.72%となりました。月次データの残る2002年1月以降での最低を更新した5月対比では上昇しましたが、依然極めて低水準にあります。

 新築ビルの空室率は同▲0.15ポイントの2.98%となった一方、既存ビルの空室率は同+0.10ポイントの1.69%となりました。

 新築ビルは、竣工1年未満のビルに成約の動きがあったことから、同空室率が低下しました。一方、既存ビルは、竣工予定ビルへの移転に伴う解約があったことや大型空室の募集が開始された影響などにより、同空室率が上昇しました。

 

【ポイント2】平均賃料は上昇が継続

66カ月連続の上昇

 2019年6月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.57%の坪当たり2万1,518円でした。平均賃料は、66カ月連続で上昇が続いています。

 既存ビルの平均賃料は2万1,287円、同+0.69%となり上昇しましたが、新築ビルは3万1,017円、同▲1.24%となり下落しました。

 

【今後の展開】オフィスビルの需給ひっ迫がJ-REITの追い風に

 6月の『オフィスビル空室率』は前月比小幅に上昇しましたが、依然極めて低水準にあります。2019年に都心5区で竣工が予定されている大規模ビルについては、入居テナントがおおむね決定し、当面まとまった空室は発生しないと見込まれているなど、オフィスビルの需給のひっ迫は続くとみられます。

 旺盛なオフィスビル需要もあり、J-REIT市場は堅調に推移しています。国内REITの総合的な値動きを示す東証REIT指数は7月10日、2007年以来の高値を付けました。10年国債利回りがマイナス圏にあるなか、相対的に利回りが高いREITに投資家の注目が集まり国内外の資金が流入しています。好調な不動産市況、長期化する金融緩和政策などから、J-REIT市場は引き続き堅調な展開が見込まれます。