在宅を好む人が多く、利便性のいい部屋が人気
【こ】ゴミ置き場 入居者確保の ポイントに
近年、スマートフォンの普及により、買い物はネットショッピングに、友人とのコミュニケーションはSNSが当たり前になってきました。これにより、賃貸住宅の在り方も変わってきたのです。
図表1をご覧ください。自宅に対する意識は年代により異なり、自分は「ひきこもり」・「どちらかと言えばひきこもり」だと思うと考えている人は若い世代に多く、20代では62.3%の人がそうであると回答しました。「1日中ずっと家の中で過ごせるほうだ」という問いには、「非常にそう思う」と回答したのも20代が最も多く、35%と約3分の1を占めたのです。1日中家の中で過ごす訳ですから、自宅に対するこだわりは強くなります。
[図表1]20代の社会人は自宅にいる時間が長くなっている
図表2をご覧ください。「付加価値型設備・サービスの魅力度」のアンケート結果です。この結果にも、あまり外出をしたくないと考える20代の傾向が表れていますので、確認していきましょう。
1位の「いつでもゴミ置き場」は、決まった時間にゴミ捨てをしなければならない面倒を回避できる利便性の高い設備なので、高い人気を誇ります。これは、管理体制のしっかりしているマンションならではのサービスです。2位の「宅配ボックス」は、ネットショッピングで購入した商品をいつでも受け取れることや、家まで荷物を運んでくれる利便性の高さを考えれば、必要な設備でしょう。
[図表2]付加価値型設備・サービスの魅力度
注目は、3位以降です。キッチンに関しての項目が4連続で続きます。「汚れにくいシンク」「2つ以上のガスコンロ」「広い調理スペース」「充実したキッチン収納」と、自炊派が増えていることを意味しているのです。
1日中ずっと家で過ごしたいと考える20代は、食事もコンビニやファストフードで済ませるのではなく、自炊により自宅から出ない方を選択します。これにより、ファミリーレストランは、24時間営業を止める企業も増えてきました。今後も24時間営業は、縮小に向かうことでしょう。しかし、夜遅くまで営業しているスーパーは、増えてきています。これは、仕事後に買い物する単身世帯のニーズに合わせたものです。
これからの入居者ニーズは「自由な生活」
スマートフォンの普及は、外出をしなくても、買い物やコミュニケーションを可能にしました。そのため、賃貸住宅に求められているものも大きく変化したのです。以前の記事で触れました「防音」「断熱」「安全」に加えて、なるべく外出しなくても良い設備の整っている住宅に人気が集まっています。
自炊派が増える中、「自由な時間にゴミ捨てができ」「自由な時間に買い物ができ」「自由な時間に商品を受け取れ」「自由な時間に友達とコミュニケーションができ」「自由な時間に食事ができる」、そんな「自由な生活」をストレスのない快適な空間で過ごすことが、今の入居者のニーズなのです。
このように近年では、目に見えない「自由を重視する」というライフスタイルに、「価値」が見出されてきました。しかし、これらの条件を満たすことは、さほど難しいことではありません。しっかりニーズを満たせば、入居者は確保できるでしょう。
(仲宗根 和徳/株式会社和不動産 代表取締役)
※この記事は2018年11月14日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。
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