利益見通し減額修正、世界スマホ出荷の減速とサプライチェーン混乱が逆風に

現地コード 銘柄名
02382

舜宇光学科技(集団)有限公司

(サニー・オプティカル・テクノロジー)

株価 情報種類

 85.55HKD
(7/4現在)

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 BOCIは舜宇光学科技の目標株価を下方修正し、株価の先行きに対する見通しを強気から中立的に引き下げた。世界のスマートフォン出荷の減速に伴うリスクの増大が背景。次世代5Gサービスを待った買い替え時期の先送りを受け、スマホ販売の減速傾向は特にハイエンド機種で鮮明。主要取引先であるスマホベンダーのサプライチェーンを取り巻く不透明感や低中価格モデルの比重拡大によるODM(相手先ブランド製品の設計・生産)業務の製品構成の悪化なども短期的に株価の下押し材料となる可能性を指摘した。

 G20大阪サミットにおける米中首脳会談は成功裡に終わり、米サプライヤーから華為技術(ファーウェイ)への主要部品供給の再開も決まった。それでもファーウェイ製スマホの海外出荷は19年4-6月期に大きく減速する見込み。本来なら、旗艦モデルP30の成功を受け、前期比で大幅な販売増を記録する可能性があった。

 米国企業が展開するスマホOS(基本ソフト)システムをめぐる不確実性を理由に、BOCIはファーウェイ製品の4-6月以降の海外出荷が20%減少するとみている。一方、世界全体のスマホ出荷台数は1-3月に前年同期比5%落ち込んだが(カウンターポイント調べ)、4-6月以降は下げ幅がさらに拡大するとの見方だ。特にハイエンド機種に関しては、5Gサービスの開始を睨んで買い替え時期を先送りする消費者の消極姿勢が響く見通しという。その結果、スマホODM業務も低価格モデル重視となる可能性があり、先進光学部品などへの機能アップグレードが遅れることもあり得るとしている。

 一方、車載用の光学アプリケーション事業に関しては、BOCIは依然として楽観的。自動運転やヘッドアップディスプレー、LIDAR(レーザー光照射を通じて距離を測定するリモートセンシング方式)、360度サラウンドビュー、スマートヘッドライトなどに用いられるセンシング、イメージング機能の需要増が高成長を支える見通しという。

 BOCIは同社の19-21年の予想売上高を6-8.9%減額修正した。主にスマホ用カメラモジュール需要の減速や平均販売価格の修正が理由。また、光学部品と光電子製品の粗利益率に関する想定値を引き下げ、19-12年の予想純利益を31-30%減額した。ただ、同社経営陣は自社技術の応用分野を広げることが可能とみており、BOCIもこれに同意している。例えば、医療やAR/VR、産業オートメーション、無人運転といった分野における画像処理技術の応用が、新たな長期成長エンジンとなり得るとしている。

 BOCIはフォワードPER22倍(過去5年間の平均レンジ)をあてはめ、目標株価を引き下げた。引き続き同社の執行力や新技術開発に向けたコミットメントを信頼しているものの、サプライチェーンを取り巻く不透明感や世界スマホ市場の逆風を懸念。株価の先行きに対する見方を中立的に引き下げ、この先、5G始動後のより良い投資のタイミングを探すよう投資家に助言している。