今週の予想
今週は、米金融政策で早期利下げの確認でもみ合いへ
今週は先週末の6月雇用統計が市場予想を超えた強さであったことで、早期の利下げ期待が後退し、米国株式は反落となりました。
このため週始めの日本市場は安く始まる可能性があり、下げ止まったとことで今週10~11日のFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の議会証言で7月の利下げが示唆されるのかどうか確認するため、それまではもみ合いとなりそうです。
市場の期待通りに早期利下げとなれば、日米ともに株価の押し上げ材料となります。ただし、為替先物のドルは0.5%の利下げを織り込んでいたため、0.25%の利下げだとしたら、それほどのインパクトはないかもしれません。
日本市場にとって、0.5%の利下げは、さらなる円高進行に。そのため、0.25%はすでに織り込んでいる可能性があり、日本の株式には買い支えとなります。すでに米株式主要3指標がそろって史上最高値を更新しているため、日経平均株価も買い安心感から米株高となれば近いうちに2万2,000円を目指す可能性があります。
ただし、その前に、大型連休の後に空けた「マド埋め」の2万1,875円を突破する必要があります。いったん調整となる場合は、米利下げ観測が遠のいたり、トランプ米大統領が米中通商協議で強硬策を打ち出したりすれば、市場は売りに傾いてくることになります。
8日は、先週末の6月雇用統計の予想を超える強さから、早期利下げ期待が後退し、米株が反落したことで、日経平均株価は、▲80円の2万1,665円で寄り付きました。これに加えて寄り前発表の5月機械受注が予想を下回り、上海株式の下落もあって後場には、一時▲246円の2万1,499円と2万1,500円を割る場面もあり、終値は▲212円の2万1,534円となりました。
今週は下値を確認した後は、11日のパウエルFRB議長の議会証言での利下げに関する発言を待つことになります。週末から来週始めにかけて日本では3連休になるため、今週は後半から様子見が強まりそうです。
(今週の指標)日経平均株価
今週は、先週末の米国株の主要3指標がそろって史上最高値を更新したことで安心感が生まれ、米金融政策で早期利下げ期待が高まれば、米株価の上昇につれて2万2,000円を試す展開も想定されます。
一方で早期利下げ観測が後退したままであれば下値は堅いもののいったん下げた後、もみ合い継続となりそうです。下げる場合は5月の大型連休明けの「マド埋め」2万1,875円が意識されます。
(今週の指標)NYダウ平均株価
先週末の6月米雇用統計でNFP(非農業部門雇用者数)は前月比22万4,000人と大幅上昇。景気が改善されているとして、利下げ観測がやや後退。今週の株式は上値の重い展開となりました。そのため、7月10~11日のパウエル議長の議会証言が注目されます。ここで7月利下げが示唆されれば上値を追うことになり、何も示唆がなければ、これから4-6月期決算シーズン突入となるため、4-6月期の企業業績と経済指標によって、株価が動くことになります。
(今週の指標)ドル/円
今週は、先週末に6月雇用統計が改善したことで、利下げ期待がやや後退。1ドル=108円台半ばまで買われました。しかし、7月利下げの可能性は依然として高く、ECB(欧州中央銀行)や日本銀行の金融緩和の激化の思惑も広がっています。トランプ大統領も利下げ発言を繰り返し、政府の要求も一段と高まっているため、ドルの上昇は限定的だと言えます。予想レンジは1ドル=107.5~109.5円です。
先週の結果
前週の米中通商協議の継続の合意を好感。大幅上昇後もみ合い
週始め一時+482円の2万1,758円まで上昇し、+454円の2万1,729円と今年3番目の上げ幅で2カ月ぶりの高水準となりました。2日に2万1,784円まで上昇し、+24円の2万1,754円と小幅続伸となるものの、出来高、売買代金は大幅に減少。3日反落し、その後は米金利低下に支えられて2万1,750円水準を上限に、下値は限定的なもみ合いで引けました。
1日:米中首脳会談での通商協議継続合意で、最悪の結果が回避でき、中国に対する追加関税の見送り、ファーウェイの制裁の緩和もあって時間外での米株価先物が上昇し、ドル高、円安に振れたことで+290円の2万1,566円で寄り付き、後場には一時+482円の2万1,758円まで上昇し、終値は+454円の2万1,729円と今年3番目の上げ幅で2カ月ぶりの高水準に。日足の一目均衡表の雲の上限を抜き、5月の大型連休明けの日足の「マド」2万1,875~2万1,639円を埋めることが期待されましたが、上昇は2日(火)の2万1,784円まででした。
2日:前日の米市場も米中通商協議の再開を好感し、3指標そろって大幅上昇しました。しかし、利下げ期待が後退していることで上値は重くなり、日経平均は前日の大幅上昇の反動で▲30円の2万1,699円で寄り付くものの、下値は堅く+24円の2万1,754円と小幅の続伸となりました。売買代金は4日ぶりに2兆円を割り込み相場に勢いがでませんでした。
3日:前日の米株式は、EU(欧州連合)は金融緩和の方向にあり、世界的な金融緩和期待が相場を支え、3指標そろって上昇。しかし、為替は利下げ期待から相対的に円が1ドル=107円台後半まで買われたことで、▲70円の2万1,684円で寄り付き、一時▲187円の2万1,566円まで売られ、終値は▲116円の2万1,638円と3日ぶりに反落しました。
4日:前日の米株式は6月ADP雇用統計(民間雇用統計)の予想が下回ったことで、7月末のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ見通しが強まり、3指標そろって史上最高値更新となりました。S&P500に関しては、5日続伸の史上最高値更新に。これは7月末のFOMCの利下げを織り込んでいることの現れです。これを受けて日経平均は+102円の2万1,740円で寄り付くものの、2万1,755円まで上昇後は、円高基調のため2万1,700円水準でこう着状態となり、+64円の21,702円で引けました。売買代金は今年2番目の1兆4,548億円と低水準となりました。
5日:前日の米国市場は、独立記念日のため手掛かり材料に欠け、日本市場は+1円で寄り付いた後は2万1,700円を挟んでのもみ合い。しかし、後場になると底堅い動きとなり、上値は重いものの大引けにかけて引き締まり、+43円の2万1,746円で引け、6月米雇用統計待ちで様子見という状態でした。
引け後の5日の米国市場では、注目の6月米雇用統計は、予想を大きく上回る結果となったことで、FRBの利下げ観測がやや後退。ドルが買われて(107円台後半から108円台の半ばの円安へ)、10年債利回りが急反発となりました。そのため為替の先物では0.5%の利下げを織り込む動きでしたが、0.25%の見方となり、株式は3指標とも小幅反落となりました。シカゴの日経先物は▲55円の2万1,645円でした。
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