今週の予想

今週は、為替と米株をにらみ、下値模索の可能性

 先週はFOMC(米連邦公開市場委員会)の今後の追加利下げが、予想外に大きく後退。米中通商協議の進展期待も、逆にトランプ米大統領の米中貿易戦争で一気に不透明感が高まり、リスク回避のドル売りと、円買い(先週末は1ドル=106.55円まで進行)がどこまで進むのか見極めることになります。

 そして今週の週末は8月SQ(特別清算指数)を控えており、売り仕掛けの思惑もあり、為替次第では下値を探る展開となりそうです。

 チャート的には、2万1,000円を割ると、その下は心理的抵抗ラインの2万500円、これを切ると6月4日の2万289円となります。

 5日(月)は、前場は先物主導で▲177円の2万909円で寄り付くと、時間外での米株価先物が一段安となっていたこともあり、先物主導で下げ幅を拡大する動きとなりました。

 週末に8月SQの清算日を控え、プットオプションの権利行使価格2万500円をつけるために大きな下げとなり、前引けは▲496円の2万590円となりました。先物は12時20分に2万480円まで下げて、2万500円のプットは成立しました。その後、後場からの日経平均は徐々に下げ渋り、終値は▲366円の2万720円となりました。

 今回の下げは、相場環境を見ると甘く考えないほうがいいかもしれません。米中貿易摩擦の行方、日米経済協議による為替の行方、日韓経済戦争、米国とイランの問題、英国とEU(欧州連合)問題など、多くの問題に取り囲まれています。

 悪材料が重なったとき、予想外の円高進行となれば、日経平均はどこで下げ止まるのか予想できません。通常の下落調整ならば、行き過ぎても2018年12月25日の2万円割れの1万9,117円に対する二番底(ダブル底)というところです。現状では為替の落ち着きどころを待つということになります。

 (今週の指標)日経平均株価

 今週は、米中貿易摩擦懸念の再燃から、為替のドル安、円高の進行をにらみながら、日本の株式市場は下値模索となる可能性があります。

 米国議会下院が7月26日から夏季休暇に入っており、上院も8月4日~9月8日まで夏季休暇入りとなるので、閑散相場の中で手仕舞いによる下げの可能性もあります。日本市場も夏休みモードの中で市場エネルギーが増加できない状況となります。軟調な相場の中で個別株物色が続くことになりそうです。

 5日は、時間外での米株価先物の一段安、円高、上海株式の下落を受けて、▲177円の2万929円で寄り付き、前引けは▲496円の2万590円。後場、寄り付きで2万514円をつけ、その後は下げ渋って▲366円の2万720円で引けました。

 

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週は、先週末にトランプ大統領がツイートで中国からの輸入品3,000億ドルに対して10%の追加関税をかけると発言したことで、引き続き米中通商協議の行方次第で米中貿易戦争の激化の再燃懸念があり、株価の重しとなります。

 また、9月2日までのレイバーデー(労働者の日)の祝日頃まで夏季休暇に入る投資家や市場関係者が多いため、閑散相場の中でポジションの手仕舞いが相場全体の上値を重くする可能性もあります。

(今週の指標)ドル/円

 今週も、トランプ大統領の対中国追加関税が米中貿易交渉を難航させ、貿易摩擦の再燃となってドル売りは継続する可能性が高くなると思われます。

 一方で9月1日より3,000億ドル相当の中国製品に対して10%の輸入関税が課せられる可能性があり、そうなれば景気には悪影響を与えるため、9月追加利下げ観測が出てくる可能性もあります。1ドル=105.5~108円のレンジを想定しています。

先週の結果

FOMCの0.25%利下げ後の追加利下げ後退と、米中貿易戦争リスクで急落

 週前半は、FOMCを控える中、利下げ幅は0.25%の見方からドルが買い戻され、1ドル=109円に接近したことで、日経平均は一時2万1,792円と2万1,800円に接近しました。

 31日、注目のFOMCは、政策金利は市場の大方の予想通り0.25%の引き下げとなったものの、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が記者会見で、「今回の利下げは長期的な利下げの始まりではない」と発言したことで、NYダウは一時▲478ドルの下げとなりました。

 日経平均はドル安進行となったことで、2万1,500円台の動きでしたが、週末になると前日の米国市場でトランプ大統領の対中追加関税を嫌気して大幅続落となり、リスク回避の円買いが107円台まで進行したことで、一時▲580円まで下げ、▲453円の2万1,087円で引けました。

7月29日(月):前週末の米国市場は、4-6月期GDP(国内総生産)が好調で、主要3指標上昇(S&Pとナスダックは史上最高値更新)だったものの、ロイターで「米中通商協議は妥結困難」との報道で、日経平均は売り先行で一時▲139円の2万1,518円まで下落。終値は▲41円の2万1,616円と続落しました。

30日(火): FOMCの利下げが当初の0.5%から0.25%へ落ち着く可能性が高く、ドルが買い戻されて108円台後半の円安進行となったことで、一時+176円の21,792円まで上昇。その後は日銀会合の政策現状維持を受け、やや円高となったことで先物に売りが出て、+92円の2万1,709円と3日ぶりの反発で引けました。

31日(水):前日の米国市場でトランプ大統領が中国への不満をツイートしたことで、米中通商協議の先行き懸念から3指標そろってマイナスに。これを受けて日経平均は▲182円の2万1,526円で寄り付き、一時▲233円の2万1,476円まで下げて、終値は▲187円の2万1,521円と反落しました。

8月1日(木):前日のFOMCで政策金利は想定通りに0.25%の利下げに落ち着きました。その後の大方の予想は、あと1~2回の追加利下げがあるとみていましたが、パウエル議長は会見で「今回の利下げは今後の利下げサイクルのスタートではない」と発言。このことで、先行きの利下げ期待が後退し、NYダウは一時▲478ドルまで下げ▲333ドルの2万6,864ドルで引け、3指標大幅安となりました。日経平均はこれを受け、朝方は、▲159円の2万1,361円で寄り付き、2万1,288円まで下げました。しかし、その後はFOMCの今後の利下げ後退発言を受け、1ドル=109.20円まで円安が進んだことでプラスに転換。+19円の2万1,540円と小反発しました。

2日(金):トランプ大統領がツイートで、中国からの輸入品3,000億ドル相当に10%の関税を課すとコメントしたことや、朝方の7月ISM製造業景況感指数が予想を下回ったことで、利下げ期待が再び高まりました。NYダウは300ドル近く上昇したものの、急落となって▲280ドルの2万6,583ドルで引け、これを受けた日経平均は▲329円の2万1,211円で寄り付きました。その後、為替が1ドル=107円台を切る動きとなったこともあり、▲580円の2万960円と2万1,000円を一時割り込み、▲453円の2万1,087円で引けました。

 日本市場の引け後の2日(金)の米国市場は、7月の米雇用統計で平均賃金が前年比3.2%と上昇し、インフレ指数となる平均賃金が強い結果となったことで、今後の追加利下げ期待がますます後退。NYダウは一時▲334ドルまで下げ、終値は▲98ドルの2万6,485ドルとなり、S&Pとナスダックは今年最大の下落率となりました。シカゴの日経先物は▲135円の2万875円と2万1,000円を大きく割り込んできました。