保有株が分割されて増加する「株式分割」。保有する株式数が増えるのはうれしいですが、そもそも何のためにやっているのでしょうか? そして投資家が得られるメリットは?
突然保有株の株価が半分になった!!
6月下旬は、株式分割を行う会社が数多くありました。ショーボンドホールディングス(1414)、トラスト・テック(2154)、メドピア(6095)、朝日インテック(7747)、ソフトバンクグループ(9984)などです。
株式分割をすることに気づかずにいると、証券口座の保有株一覧をみて、株価が突然大きく値下がりするので一瞬驚くこともあるでしょう。
しかし、株価が値下がりしたのは株式分割によるものであって、株の価値が減ったわけではありませんから心配は不要です。
例えば前日の株価8,000円のA社株を100株所有していて、A株に「1株を2株にする株式分割」が行われたとすると、株価は半分の4,000円になりますが、株数は200株に増えます。
つまり、株式分割前は「8,000円×100株=80万円」、株式分割後は「4,000円×200株=80万円」と、株式分割前後で理論的な株価には変動ありません。
でも実際は、株式分割の前後で株価が大きく動くこともあります。
株式分割は株価が上昇する要因か
実は一昔前は、株式分割は好材料として、株価が大きく上昇する要因となっていました。理論的には株式分割は株価に中立であり、株価に与える影響はないにもかかわらずです。
考えられる理由としては「株式分割によりその株が買いやすくなる」ことにより、買いの需要が膨らむと予想しての先回り買いです。そして実際に株式分割が行われた後に多くの買いが入り、株価が上昇することもよくありました。
例えば8,000円の株が1株を4株にする株式分割を行えば、1株が2,000円になります。100株単位で考えれば、株式分割前は80万円必要だったのが20万円で買えるようになります。これは個人投資家にとってかなりハードルが低くなるのではないでしょうか。
株式分割で株価が下がることも?
最近の株式分割銘柄をみると、必ずしも株価が上昇するとは言えない動きになっています。株式分割の発表後も、実際に株式分割が行われた後も株価が上昇せず、逆に値下がりしてしまうケースもあります。
その理由の1つとして「株式分割によりその株が売りやすくなる」という点があります。例えば株式分割の対象となる株を100株保有しているとき、株を売るとすべて株がなくなってしまいます(売買は100株単位のため)。
しかし、1株を2株に分割する株式分割が実施されれば、100株保有していれば200株となり、100株を売っても、まだ手元には100株が残ります。それならば、半分売っておこう、と思う投資家も少なくないはずです。
つまり、株式分割で株価が上がるか下がるかは「安く買えるようになった」として生じる買い需要と「半分売っておこう」という売り需要、このどちらの需要が強いかによって決まってくるのです。
一昔前は「株式分割=株価上昇」という理論的根拠のない思い込みが多くの投資家にあったため、株式分割の銘柄はとりあえず買い、という動きから実際に株価が上昇したことも多々ありました。
現在はそのような動きは少なくなり、純粋に新規の「買い需要」と「売り需要」の綱引きにより株価がどう動くかが決まると言ってよいでしょう。
ですから、株式分割によって株価がどう動くかを事前に予想することは難しいというのが結論です。
株式分割銘柄を中長期的視点でみると株価はどうなる?
以上は短期的な視点からの株価の動きです。では、中長期の視点から考えるとどうでしょうか?
株式分割は、株価が大きく上昇して、買いにくい水準にまで達した株価を引き下げるという目的があります。
そして株価が大きく上昇したということは、その銘柄の業績が好調である可能性が高いです。
もし株価が上昇しなければ、株式分割をする必要もありません。つまり、株式分割をする銘柄というのは、好業績であることを表しているのです。株式分割が複数回に行われているのであれば、なおのこと好業績が続いていると判断できます。
もちろん、株式分割をした後で業績が悪化してしまえば株価も大きく値下がりしてしまいますから、業績の推移や株価のトレンドにも注意を払う必要があります。でも、中長期的にみれば、特に株式分割を複数回行っている銘柄は「株価が大きく上昇している=好業績が続いている」といえ、さらなる株価上昇が期待できるといってよいと思います。
ぜひ一度「株式分割の有無や回数」といった観点から銘柄探しをしてみてはいかがでしょうか。
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