電力販売の「市場化」を通達、値下げよるマイナス影響は限定的

 中国の国家発展改革委員会は27日、電力分野のシステム改革の一環として発電・消費計画の全面自由化を通達し、例外を設けながらも市場原理に沿った電力取引を認める方針を示した。通達はあくまで大枠を示したもので、詳細や具体的なタイムテーブルは不明だが、BOCIは新規定が電力セクターにもたらす影響を以下のように分析している。

 今回の通達では、電力会社の顧客を「経営性電力利用者」(operating power users)と「それ以外」(住宅、公益・公共サービス、運輸、農業など)に分けた上で、「経営性電力利用者」に限り、全面的に市場メカニズムに基づく電力取引を認めるとした。中国電力企業聯合会の資料に基づくBOCIの分析では、18年の国内総電力需要の45.3%、送電量(卸電力量)の55.7%を、この経営性利用者が占めるという。18年時点ですでに「市場原理に基づく電力販売」(MBPS)方式を採用していたのは送電量全体の37.1%。こうした数字を踏まえた上で、BOCIはまだMBPSを適用していない、残る経営性利用者の7割が今後、MBPSに切り替えることが可能になると想定し、長期のMBPS浸透率については約50.1%との予測値を示した。一方、経営性利用者のうち約30%は以下の理由から、MBPS方式の採用を見送る可能性を指摘している。スケールメリットの欠如、動機の欠如、技術的問題、再生可能エネルギーの変動性(主に水力・風力)。

 大手電力各社の多くはすでにMBPSの比重がかなり大きく、うち華潤電力控股(00836)、華電国際電力(01071)、華能国際電力(00902)のMBPS適用率は18年に43%を上回った。これはBOCIの長期予想浸透率(50.1%)にかなり近い数字となる。また17年10-12月期以降、大手各社の電力販売価格が上向いていることから、BOCIはMBPS取引における値引き率(対ベンチマーク価格比)の縮小を見込み、各社ともMBPSの比重拡大に伴うマイナス影響を十分消化することが可能とみている。

  国家発展改革委員会はまた、今回の通達で、原発および再生エネルギー発電を対象とした買い取り保障規定を履行するよう重ねて指示した。再生エネルギーの電力ロス率はここ2年ほど急速に低下しており、BOCIは北西部を除くほぼ全域で、向こう2-3年以内に全発電量のフル消費が可能になるとみている。

 同委員会は今回、さらに「経営性利用者」部分の全面自由化を実施した後、改めて電力価格決定メカニズムを見直す可能性を示唆した。ただ、詳細や影響は今のところ不明で、BOCIは今後の展開を注視していくとしている。

 BOCIは引き続き、総合電力銘柄(IPP)のうち、華潤電力控股と華能国際電力をトップピック銘柄とした。市場自由化に対する抵抗力の強さに加え、輸入石炭価格の値下がりによる恩恵が大きいことが理由。この2社に中国電力国際(02380)を加えた3社の株価の先行きに対して強気見通しを付与している。