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 トランプ米大統領はメキシコの不法移民対策が不十分として同国からの全輸入品に『制裁関税』を課すと表明しましたが、その後、両政府間で合意がなされ、6月10日からの5%の関税発動は無期限で見送られました。メキシコの不法移民対策は45日後に中間評価され、米国に不十分と評価されれば追加措置を取り、90日間で『制裁関税』発動を含め結論が出される予定です。7月下旬に出される中間評価が注目されます。

 

【ポイント1】米国とメキシコ、不法移民対策で合意

90日間で移民対策の効果を測定

 6月7日、トランプ米大統領はメキシコと不法移民対策で合意したとして、同国の全輸入品への『制裁関税』発動を無期限で見送ることを発表しました。米国のメキシコからの輸入額は中国に次いで2番目に大きく、産業界や経済界にひとまず安心感が広がりました。

 主な合意内容は、メキシコ政府は国境付近を中心に国家警備隊を配置、メキシコ国境から米国に不法入国し保護申請をした移民はメキシコ側で待機させる制度の履行拡大、対策の効果が出なければ再協議を行い、90日以内に新たな対策を発表、などです。

 

【ポイント2】45日間で中間評価

数値目標はなく、米国側の見方次第か

 メキシコのエブラルド外相は、合意した不法移民対策が45日後に中間評価され、米国から不十分と判断されれば追加措置を取り、最終的に90日間で『制裁関税』発動を含め結論が出されることを明らかにしました。

 メキシコ政府は、米国やグアテマラとの国境、不法移民の通るルートに2.5万人を超える治安部隊を配備するなど、合意に基づく取締りを強化しています。但し、数値目標などがないため、対策の評価はトランプ米大統領の見方次第となる可能性が高く、7月下旬に出される中間評価が注目されます。

 

【今後の展開】『制裁関税』を避け「安全な第三国」指定を受け入れ

 メキシコの取り組みに対し、7月1日、トランプ米大統領はメキシコは素晴らしい仕事をしていると評価し、対メキシコ関税は検討の対象にないと述べています。 『制裁関税』の最終的な結論がなされるのは9月になるとみられますが、今月の中間評価も含め、先行きが注目されます。

 米国は、「安全な第三国」としてメキシコを指定し、米国への難民申請者を移送してメキシコで保護する仕組みを求めています。中間評価で不十分な評価となれば、メキシコ政府はこの要求に応じるため法案を検討すると表明しました。但し、米国やメキシコは、他の中南米諸国も難民申請者を受け入れ、負担を分担すべきとしており、その場合はブラジルや中南米の周辺国との協議が必要となるため、相応の時間がかかるとみられます。