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 消費者の節約志向が強い中、2019年5月の民生用電気機器の国内出荷金額は13カ月連続の前年比プラスとなりました。ルームエアコン、電気冷蔵庫、電気洗濯機など『白物家電』が牽引しました。この背景には共働き世帯が増加して、消費者は安さよりも便利さを求めるようになる中、『白物家電』メーカーがそうしたニーズに対応した商品を開発して商品単価が上昇したことなどがあります。今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】『白物家電』の好調が続く

 日本電機工業会によると民生用電気機器の2019年5月の国内出荷金額は、2,127億円、前年同月比+9.8%と13カ月連続のプラスとなりました。製品別の国内出荷金額をみると、ルームエアコンは911億円、同+23.7%と16カ月連続のプラス、電気冷蔵庫は327億円、同+0.9%と4カ月連続のプラス、電気洗濯機は279億円、同+10.3%と11カ月連続のプラスとなり、『白物家電』の主力製品がけん引しています。

 共働き世帯の増加が続き、消費者は安さよりもニーズに合った機能を求める傾向が強まっています。例えば、自動化により時短につながる製品、使いやすさが向上した製品や、同じ設置面積でも容量がより大きい製品などが人気を集めています。

 

【ポイント2】時短需要を取り込んだ商品が好調

 時短需要は、共働き世帯の増加が背景ですが、その需要を上手に取り込んだ洗濯乾燥機、食洗機、ロボット掃除機などがヒット商品となっています。

 洗濯乾燥機について好調の要因を探ってみると、「ななめドラム式」の登場もあげられます。ドラムを斜めに配置することで、洗濯物を出し入れするドアも斜めとしました。これなら横型ドラム式のように腰をかがめる必要がなくなり、途中で扉を開けても洗濯水があふれることはないため、洗濯の途中でも扉を開けられるようになりました。このため高価格ながらヒット商品となりました。

 

【今後の展開】『白物家電』でロボットや人工知能(AI)などの活用が進む方向

 家事には1日平均で約3時間が費やされています。更なる時短ニーズに応えるため、『白物家電』でもロボットやAI、モノのインターネット(IoT)の活用などが進むとみられます。企業も取り組みを活発化させており、日立製作所は2019年4月に2子会社を統合してIoTの技術をいかした新サービスなどを開発し、家電事業の収益力を高める事業戦略を発表しました。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。