株式投資をしている人に出会うと、つい「おススメ銘柄」を聞いてしまいたくなるのが個人投資家の性。でも、投資家として自立したければ、その習慣はすぐ見直すべきです。

個人投資家の挨拶「何かいい銘柄ない?」

筆者は株式投資を始めてから20年近くになりますが、その間数多くの個人投資家の方にお会いしてきました。お互いが株式投資をしていると知ったとき、ほとんどの方が筆者に対して話すこと、それは「何かいい銘柄ありませんか?」の一言でした。

株式投資で成果を出すには、将来株価の値上がりが期待できる銘柄に投資するのが近道です。そのため、多くの個人投資家にとって最大の関心事は「おススメ銘柄」を知ることにあるといっても過言ではありません。

でも、筆者は、人に「おススメ銘柄」をすぐ聞くというその行動は、改善していくべきと思っています。

なぜ「おススメ銘柄」を聞いてはいけないのか?

では、なぜ人に「おススメ銘柄」を聞いてはいけないのでしょうか。大きく3つの理由があります。

(1)そもそも当たらない
筆者自身も、「この銘柄は値上がりするだろう」とかなり自信がある銘柄であっても、ふたを開けてみると逆に値下がりしてしまう・・・ということが頻繁にあります。

(2)聞いた後のフォローアップができない
今日の時点では「おススメ」であっても、来週になれば株価や業績の変動などで「おススメ」から外れる可能性もあります。でも、「おススメ」した相手に対してわざわざその事実を後日伝えてくれる人などまずいないでしょう。

(3)当たらないと他人のせいにしてしまいがち
本来、株式投資は自己責任で行うものです。でも、他人から聞いた「おススメ」銘柄を買った結果損失が生じてしまった場合、自分の責任ではなく、「〇〇さん、この銘柄おススメといっていたのに全然ダメじゃないか!」と他人に責任を押し付けてしまいがちです。

この3つの理由から言えること、それは「おススメ銘柄」を人に聞いているうちは、他力本願から抜け出せていないため株式投資が上達しない、ということです。

投資顧問はなんのために存在しているのか?

我が国には、投資顧問会社が数多くあります。機関投資家のみを対象としているところもありますが、個人投資家に向けて、銘柄の推奨をしている投資顧問会社もいくつもあります。

投資顧問会社は、まさに個人投資家に対して「おススメ銘柄」を教えてくれるところなのです。

なぜ投資顧問会社が存在しているのか、それはやはり多くの個人投資家にとって、将来値上がりが期待できる銘柄を教えてもらいたい、というニーズが根強いからだと思います。

筆者は、基本的に投資顧問会社を使うことはありません。それは上記3つの理由の(1)と同様、投資顧問会社が行う予想が外れることも結構多いからです。

もし、投資顧問会社が行う予想の大部分が的中し、「おススメ銘柄」を知りたがる個人投資家のニーズに完璧にこたえることができていればよいのですが、実際はそうはなっていないと思います。

筆者自身、以前投資顧問会社の役員をしていましたから分かりますが、投資助言者(予想をたて、銘柄の推奨をする人)が頑張って予想して推奨銘柄を選んだとしても、その銘柄の株価が想定通り動かない、ということは日常茶飯事でした。

また、マクロの予想は結構しっかりと当ててくる著名エコノミストであっても、個別銘柄の予想となると全然当たらない、という事実も目の当たりにしています。

筆者は普段どうしているのか?

では、筆者は「おススメ銘柄」を人から聞いていないのかと言えば、そうでもありません。筆者が毎月参加している株式投資の勉強会では、参加者の方(筆者より実力のある人も何人もいます)がそれぞれ注目している銘柄を持ち寄り、なぜその銘柄が注目に値するのかを説明してくれます。

筆者は、それらの銘柄のうち、関心を持ったものにつき業績をチェックしたり、業容を調べたりして、将来性が高いと判断した場合は「ウォッチ銘柄のリスト」に加えます。

つまり、筆者は人の「おススメ銘柄」をそのまま鵜呑みにしてすぐ飛びついて買ってしまうのではなく、まずは「リスト」に入れるのです。そのうえで日々株価チャートをチェックし、上昇トレンドであれば新規買いをしていきます。

筆者は投資情報サイトにて専門家・評論家の方が毎日のように推奨している「おススメ銘柄」は一切無視しています。それは、投資対象銘柄の想定投資期間が筆者の投資スタイルに比べて明らかに短かったり、推奨する理由が説得力のないものだったりすることが非常に多いためです。

自分で考える個人投資家を目指そう

なお、筆者は上で触れた勉強会において、自分からおススメ銘柄を求める、ということはしません。そうではなく、筆者が自分で調べてみて気になった銘柄について、「こんな銘柄があるのだけれど、どう思います?」と他の参加者の方に問いかけ、意見やヒントをもらうようにしています。

その勉強会の参加者は、誰一人として「おススメ銘柄ない?」とお互いに話したりしません。みな独自の投資スタイル、投資哲学を持っています。

筆者が数多くの個人投資家の方とお話しした結果導き出した結論、それは株式投資で成果をしっかりあげている個人投資家は、他人に「おススメ銘柄」を聞くことは一切していない、ということです。

この事実を踏まえ、皆さんも他力本願から卒業し、自分で銘柄を選び、自分で売買の判断をするような個人投資家をぜひ目指してください。