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 主要20カ国・地域(G20)の貿易・デジタル経済相会合が6月8日、9日に茨城県つくば市で開催されました。デジタル経済分野では、人工知能(『AI』)について適切に利用することを定めた「『AI』原則」などがG20として初めて議論されました。同会合は、「人間中心」の『AI』利用の実現に向けた取り組みや、信頼性のある自由なデータ流通の重要性の確認などを盛り込んだ閣僚声明を採択しました。

 

【ポイント1】G20で『AI』原則について初めて議論

『AI』は今や世界で利用が広がり、社会に不可欠な存在となっている一方で、『AI』に職を奪われたり、データに偏りがあることで人々が差別的な扱いを受ける懸念が指摘されています。運用者が守るべき国際的なルール策定を求める声が高まるなか、G20では初めて『AI』について適切に利用することを定めた「『AI』原則」などが議論され、共通認識として閣僚声明が採択されました。

 閣僚声明には、各国が人権などに配慮して人間中心の『AI』を実現する環境づくりに取り組む必要性や、安全で自由な電子データの流通を促進して世界経済の成長につなげる「信頼性のある自由なデータ流通」の重要性が盛り込まれました。

 

【ポイント2】人間中心の『AI』利用

信頼性のある自由なデータ流通

 閣僚声明では、人間中心の『AI』という価値観が打ち出されました。無秩序な『AI』の開発や利用を防ぎ、各国が人権などに配慮して責任をもって利用する、人間中心の考え方や運用の透明性確保の必要性が示されました。

 また、世界で急速に広がる電子データの流通について、国内法や国際法などのルールで安全やプライバシーといった信頼性を確保することの重要性が確認されました。日本が提唱した、「信頼性のある自由なデータ流通」について各国間で認識が共有化されました。

 

【今後の展開】『AI』利用の国際ルール作りが進展することを期待

 共同議長を務めた石田総務相は記者会見で、「人間中心の考え方を盛り込んだ『AI』に合意できたことは、大変意義深い。今後のあるべき『AI』社会に向けた検討を深めていきたい」と述べました。また、世耕経済産業相は「データの流通が促進されることで、途上国を含めて世界全体の発展につながるという認識は一致できた」と強調しました。G20として初めて採択された『AI』の利用に関する声明をベースに、今後国際ルール作りが進展することが期待されます。