決済期間が3営業日から2営業日に変更

 7月16日(火)の取引(約定)から株式等の受渡日が1営業日早まり、取引日から「2営業日目」に受渡が行われるようになります。これは、海外主要国(米国、欧州など主要市場)では2営業日が主流となっているためです。

 1日短縮されて、約定から決済までの期間が短くなればリスク軽減になり、資金の移動も早まるので、より機動的に株式や資金を活用できるようになります。

 個別株だけでなく、REIT(リート:上場不動産投資信託)やETF(上場投資信託)も含めた上場有価証券が対象となるので、多くの銘柄が影響を受けることになります。

 わたしたち個人投資家も今まで「3営業日」と体に染みついた習慣を「2営業日」に替えなくてはなりません。特にクロス取引や1日株主で株主優待の権利を取っていた方は、注意が必要です。

決済期間変更によるポイント

株主優待

 具体的な変更について見ていきます。まずは優待の権利。今まで権利確定日の3営業日前だった権利付き最終日が1日後ろ倒しになり2営業日前となります。同時に、優待の権利がもらえなくなる「権利落ち日」は、権利確定日の2営業日前だったのが、1営業日前になります。

 配当や優待の権利をゲットするための売買ルールとして、これまで「3日営業日前までに買って、2営業日前までに売れば、権利はもらえる」だったのが、今回のルール変更で「2営業日前までに買って、1営業日前までに売れば、権利はもらえる」となります。間違って、2営業日前に売ってしまうと、権利はもらえないことになるので、要注意です。

 例えば、これまでのルールだと、7月の権利付き最終日は7月26日(金)でしたが、今回から7月29日(月)に買えば大丈夫となります。

2019年7月末の優待カレンダー

「あ~、あの株買うの忘れちゃった~」という「うっかりさん」には良い制度となりますが、「うっかりさん」は1日短縮になっても「うっかりさん」かもしれません。売る日にも注意を。

 優待を取られる方は、まずはカレンダーに新しい権利付き最終日をしっかり記入しましょう。忘れないことが一番です!

 ちなみにこの制度で一番初めに影響を受けるのは、7月20日決算の内田洋行(8057)ウチダエスコ(4699)、決算期は1月20日で、7月20日にも優待の権利が発生するダイドーグループホールディングス(2590)となります。

資金の流動性

 今まではクロス取引などでは3日間資金が拘束され、その間は出金やその資金を使ってのIPO(新規公開株)の申し込みなどができませんでしたが、1日早くご自身のお金を動かせることになります。

 お金に働いてもらうために、資金をあちらこちらに動かして投資する方にとっては1日でも早く移動できるのはありがたいこと。資金の流動性が上がる今回の決済期間短縮は、機関投資家や証券会社はよりメリットが高いと思います。

NISA

 年末のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座でのお取引は、来年の2020年分のつもりで12月25日にNISA銘柄を買うと2019年分とカウントされるので、気をつけてください。節税のつもりが残念な結果になってしまいます。

まとめ

 3営業日から2営業日に変更になっても、そう大きな影響はないように思います。現物や長期の保有者は、関係ない話かもしれません。ですが、こうした変更は流動性を高め、株式市場の活性化にも繋がります。システムで対応できるリスクは少しでも軽減し、機関投資家だけでなく、個人投資家にも公平で優しい株式市場であってほしいと思います。

 7月は優待銘柄もおよそ30銘柄と少ないので、それほど大きな影響はないかと思いますが、8月、9月は優待銘柄が充実しているので、8月28日(水)、9月26日(木)としっかりカレンダーにチェックを入れて、「うっかりさん」にならないように気を付けて取引しましょう。