日経平均は3週連続上昇。移動平均線が上げ下げの目安に

 先週の国内株市場ですが、週末6月21日(金)の日経平均株価終値は2万1,258円となりました。前週末終値(2万1,116円)からは142円高、週足ベースでは3週連続の上昇です。注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)を通過し、米国の利下げ期待が相場を支えた格好と言えます。

 そして今週は、もうひとつの株価支援材料となっている米中摩擦の改善に絡んで、週末に開催されるG20(20カ国・地域)大阪サミットに合わせて行われる予定の米中首脳会談に注目が集まっていますが、今週も良好な相場地合いを保てるのかが焦点になります。

 まずは下の図1で足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年6月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均の値動きを振り返ってみると、FOMC前の週初は様子見で始まり、FOMC後は上昇で反応して週末に失速するという展開でした。

 こうした株価の動きは移動平均線に重ね合わせると分かりやすいと思います。最初は25日移動平均線が意識され、その後75日移動平均線に向けて上昇、週末の売りに押される場面では5日移動平均線がサポートとなっています。相場のムードに合わせて移動平均線が上げ下げの目安として機能しています。

 また、18日(火)に下落したことにも注目です。これにより、5月14日と6月4日の安値と合わせて「トリプルボトム」っぽい形になっています。

 目先の上値抵抗となっている75日移動平均線を上抜けできれば、チャートの形がさらに良くなるわけですが、週末21日(金)の陰線が前日の陽線を包み込む「抱き線」になっていることや、先ほどのトリプルボトムについても、いわゆる「窓」空けが多い中で形成されており、価格の連続性に欠ける面もあります。さらに、今週26日(水)は6月の権利落ち日ですので、ある程度の「配当落ち」も考えると、75日移動平均線の上抜けは思ったよりも高いハードルなのかもしれません。

米国株市場は主要3指数が最高値圏に位置

 その一方で、米国株市場に目を向けると、主要3指数(NYダウ平均株価・S&P500・NASDAQ総合指数)がそろって最高値圏に位置しています。これら米国株に比べると日本株の現状はかなり出遅れていると見ることができますので、米国株が大きく崩れなければ、日本株の出遅れ修正による株価上昇への期待も残されています。

 そこで、米国株の状況についても見ていきます。

■(図2)米NYダウ(日足)とMACDの動き (2019年6月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は直近1年の米NYダウとMACDの推移を示していますが、下段のMACDに注目します。MACD(赤色の線)が意味しているのは、短期と中長期の(平滑)移動平均線の差になります。相場にトレンドが発生している場合には、短期の線が先に反応し、遅れて中長期の線が追いつくことになります。

 足元のNYダウのMACDは急上昇によって200ドルを超えてきており、ここ一年間の推移で見るとかなり高い水準です。短期の線が先行して上昇し、株高がやや「前のめり」となっている印象を与えています。今後は、中長期の線がキャッチアップできるまで堅調な相場地合いを継続できるかがポイントになります。実際に、直近では今年の1月中旬から2月下旬にかけての時期にも見られましたが、この時はMACDが高水準の横ばいをキープしつつ、株価は上昇傾向をたどっています。

上値の伸び悩みや株価下落、どこまでが許容範囲?

 そのため、今週は「出遅れ」日本株と「高値更新」米国株のシーソーゲームの展開がメインシナリオとなりそうですが、上値の伸び悩みやある程度の株価下落は中長期的にはOKということになります。ではどの程度なら許容範囲なのかというと、前回も紹介した、複数のトレンドラインによる整理が引き続き有効です。

■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年6月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は、昨年10月2日の高値を起点にして、戻り高値を結んだ赤いトレンドラインと、12月26日の安値を起点にして、押し安値を青いトレンドラインを組み合わせています。

 前回は、青いトレンドライン(3)と、赤いトレンドライン(3)がクロスしているところに囲まれたゾーンが想定レンジになると指摘しましたが、実際にその通りの値動きとなりました。引き続き、下方向に株価が進んだ場合は、赤いトレンドライン(3)がサポート、反対に上方向に進んだ場合は青いトレンドライン(3)が抵抗の目安として意識されそうです。

 そして、次に控えているのは赤と青のトレンドライン(4)で、このラインに囲まれているエリアの幅は次第に狭くなっています。ちょうど「三角保ち合い」のようにも見え、抜けた方向に株価が大きく動く可能性を感じさせます。しばらくはもみ合いが続きそうですが、相場に新たな方向感が出てくる時期はそう遠くないのかもしれません。