政策金利に変更なし
6月18~19日の両日開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では米国の政策金利であるFF(フェデラルファンズ)レートが現行の2.25~2.50%のまま維持されることが発表されました。
全体として声明文、SEP(経済予測サマリー)、記者会見はハト派的でした。7月利下げというシナリオが一層補強されたと思います。
声明文の変更点
まず「辛抱強く」という、これまでの表現は削除されました。これはFRB(米連邦準備制度理事会)が機動的に動けるように下ごしらえする意味があると思います。
また今回の政策金利の決定は全員一致ではなく、パウエル議長になって初めて、1名が反対票を投じました。
経済に対する見方
米国経済の70%を占める消費はしっかりしており、失業率も低いです。従って「全体としてベースラインの経済指標はおおむね強い」とパウエル議長は強調しました。
しかしその一方で、米国以外の国々の経済には陰りが見えているし、貿易の問題は相変わらず不透明感をもたらしています。これらの要因は最近、さらに見通しが険しくなっている観があります。
こういったことを総合すると、どちらかといえば遅きに失するよりも早めに動いた方が良いという考えがFRB内に広がっています。これをパウエル議長は「予防は治療に勝る(An ounce of prevention is worth a pound of cure)」という言葉で表現しました。
経済予測サマリー
今回は声明文に加えて、SEP(経済予測サマリー)も発表されました。これは俗に「ドットプロット」と呼ばれるもので、FRBメンバー各自が思い思いに将来の政策金利や経済指標がどうなるかを予想し、それをチャートにドット(点)として落とし込んでいくものです。
今回のドットでは8人のメンバーが今年の利下げを示唆する方向へドットを下げました。
しかし平均値を取ってみると下のチャートに見られるように、2.4%と変動はありませんでした。
FOMCメンバーによるFFレート予想
8人がドットを下げたということは「利下げがいよいよ近い」と解釈できるでしょう。
もうひとつ目を引いたのはPCE(個人消費支出)コア・インフレの予想が下がったことです。
FOMCメンバーによるPCEコア・インフレ予想
つまりFRBが7月に利下げするとして、利下げの根拠は「インフレ期待が下がったから」という言い訳ができるというわけなのです。
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