売買ランキングから見る、6月上旬の注目点

2019年6月上旬 米国株式売買ランキング

順位

ティッカー

銘柄名 関連するテーマ
1 AMZN アマゾン・ドット・コム eコマース、クラウド、AI
2 MSFT マイクロソフト クラウド、PC
3 AMD アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD) PC、クラウド、eスポーツ、AI
4 SPXL Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF 米国株式市場全体(レバレッジ)
5 MA マスターカード キャッシュレス、フィンテック、eコマース
6 FB フェイスブック SNS
7 CRM セールスフォース・ドットコム クラウド、ソフトウェア
8 CSCO シスコシステムズ 通信、IoT
9 V ビザ キャッシュレス、フィンテック、eコマース
10 BYND ビヨンド・ミート 代替肉
注釈:楽天証券金額ベース。6月3~14日、国内約定日ベース

 6月上旬の売買ランキングの注目点としては、韓国のサムスン電子との提携などポジティブなニュースが相次いだアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)や、10位にランクインした植物由来の代替肉を手がけるビヨンド・ミートでしょうか。売買代金ランキング1位と2位のアマゾン・ドット・コム(AMZN)とマイクロソフト(MSFT)については先週に引き続き上位にランクインし、根強い人気となっています。

ランキング上位の銘柄について、直近の動向を解説

 売買ランキングのTOP5に入った銘柄(ETFを除く)や、その他注目銘柄について直近の動向を見ていきたいと思います。

アマゾン・ドット・コム(AMZN)

出所:トムソン・ロイター(現地6月14日まで過去1年間)

 売買ランキング1位のアマゾンについては、同社が「独占禁止法に抵触していないか米当局が調査を始める可能性がある」などと報じられ月初の6月3日は大きく売り込まれましたが、売りは長くは続かず、翌日から反発。新型ドローンを使った商品の配達を今後数カ月以内に始めるというニュースなどが流れる中、その後は堅調な値動きが続きました。

マイクロソフト(MSFT)

出所:トムソン・ロイター(現地6月14日まで過去1年間)

 当局が独占禁止法の調査に動くかもしれないという報道を受け前述のアマゾンなど主力銘柄が下落したことにツレ安し、マイクロソフト(MSFT)も月初は軟調な値動きとなりました。しかしこちらもすぐに切り返し、6月11日には史上最高値を更新するなど、引き続き堅調な値動きを示しました。

 オラクル(ORCL)とクラウドコンピューティングサービスで連携するといった発表もありましたが、やはり引き続きクラウド関連の本命銘柄の1つとして、マーケットでは強気派が優勢となっているようです。

アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)

出所:トムソン・ロイター(現地6月31日まで過去1年間)

 アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は5月27日に7nmプロセスルールで製造される新CPUを発表した他、モバイルグラフィックス技術の開発でサムスン電子と複数年にわたって提携するとの発表や、マイクロソフトのゲーム機「Xbox」の次世代機にAMDの半導体が搭載されるとの発表などもあり、株価は急上昇。

 5月最終日時点から株価は一時20%以上上昇する場面もあり、以前は完全にインテル(INTC)やエヌビディア(NVDA)に対し劣後していた印象のあるAMDですが、いよいよインテルの王座を脅かす存在になってきたのかもしれません。

マスターカード(MA)

出所:トムソン・ロイター(現地6月14日まで過去1年間)

 4位はETF銘柄でしたので、5位のマスターカード(MA)を見ていきます。マスターカードは9位にランクインしたビザ(V)同様に、自身はクレジットカードの発行を行わず、同社の決済ネットワークを利用した金融機関から手数料を得ている企業です。マスターカードやビザなどの企業はeコマースの普及などキャッシュレス化が進む中で長年堅調な値動きを示しており、6月上旬も特に目立ったニュースもない中で、両社共に6月上旬に史上最高値を更新。クラウド関連と同じように、やはりこうしたキャッシュレス関連の銘柄にも長期的な追い風が吹いているようです。

ビヨンド・ミート(BYND)

出所:トムソン・ロイター(現地6月14日まで過去2カ月間)

 10位に入ったビヨンド・ミート(BYND)は植物由来の代替肉を手がける企業で、5月2日に上場。Q1(1-3月)の売上高が前年比3倍となったほか、2019年通期の売上高が前年比倍以上になるとの見通しを示すなど好決算が発表されたこともあり、株価は一時185ドルを超え、IPO価格25ドルの約7倍となりました。

 その後はアナリストがやや慎重な見方を示し、株価は20%を超える急落になるなど値動きの荒い展開が続いていますが、「代替肉」への期待の強さが下支えしているのか、株価は高値圏で踏ん張っています。私はまだこちらの代替肉を食べたことがないのでなんとも言えないところもありますが、テーマとしては面白いものがあると思うので、今後も注目しようと思います。

今後の動向について

 今月始めは独占禁止法関連のニュースが大きな話題となりましたが、ひとまずマーケットはそれほど懸念している様子はなく、米中貿易問題に加え新たな懸念事項が積み上がるということは回避できた印象です。
 6月下旬はFOMC(米連邦公開市場委員会)の開催に加え、いよいよG20が開催されます。今後の金利動向(利下げ観測)や米中貿易問題に関連して新たなニュースが飛び出てくる可能性が高く、そうした報道に振り回される展開が予想されます。

 個人的にはこうした相場では中国向けの売上高が低く、クラウド関連やキャッシュレス関連など長期的な追い風が吹いているような銘柄に避難することが良いのではないかとも思いますが、一旦キャッシュポジションにしておき、動向が決まってからポジションを構築するというのも方法の1つかもしれません。
 どちらにしても、6月下旬はイベントが盛り沢山ですので、マーケットからは目が離せない展開が続きそうです。

本資料は、掲載されているいかなる銘柄についても、その売買に関する勧誘を意図して作成したものではありません。本資料に掲載されているアナリストの見解は、各投資家の状況、目標、あるいはニーズを考慮したものではなく、また特定の投資家に対し特定の銘柄、投資戦略を勧めるものではありません。また掲載されている投資戦略は、すべての投資家に適合するとは限りません。銘柄の選択、売買、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料で提供されている情報については、当社が情報の完全性、確実性を保証するものではありません。本資料にてバリュエーション、レーティング、推奨の根拠、リスクなどが言及されている場合、それらについて十分ご検討ください。また、過去のパフォーマンスは、将来における結果を示唆するものではありません。アナリストの見解や評価、予測は本資料作成時点での判断であり、予告なしに変更されることがあります。当社は、本資料に掲載されている銘柄について自己勘定取引を行ったことがあるか、今後行う場合があり得ます。また、引受人、アドバイザー、資金の貸手等となる場合があり得ます。当社の親・子・関係会社は本資料に掲載されている銘柄について取引を行ったことがあるか、今後取引を行う場合があり得ます。掲載されているレポート等は、アナリストが独自に銘柄等を選択し作成したものであり、対象会社から対価を得て、又は取引を獲得し若しくは維持するために作成するものではありません。この資料の著作権は楽天証券に帰属しており、事前の承諾なく本資料の全部または一部を引用、複製、転送などにより使用することを禁じます。本資料の記載内容に関するご質間・ご照会等には一切お答えいたしかねますので予めご了承お願いいたします。