今週の予想

週前半堅調だが、週末のメジャーSQに向けて様子見へ

 今週の日経平均株価、週前半は2万1,000円台を回復しても、これを維持できるかどうかは見通せません。その理由は、NYダウ平均株価もそろそろ一服する頃合いであり、米中通商交渉はまだ不透明のまま。さらに、円高にもかかわらず、日経平均がNYダウにツレ高してきているため、NYダウの上昇が止まれば、日経平均の上昇も止まることになります。

 米国の利下げの影響は、米国にとっては経済が持ち直す効果はありますが、日本には日米金利差の縮小から円高基調となって、日本の輸出業の採算を悪化させることになります。

 その場合、日銀が米国政府を無視して利下げに合わせて金融緩和をできるかどうか、日銀のETF(上場投資信託)買いに加え、量的緩和が実施できれば2万1,000円台回復することになりますが、果たして疑問です。

 今週は週末14日(金)にメジャーSQ(特別清算指数)があり、状況によっては売り仕掛けが出る可能性もあります。

 週初10日は、先週末の米国株式が大幅続伸して終わっていたことで、+210円の2万1,095円と大幅続伸して寄り付き、後場も高値圏で推移しました。要因としては米政府によるメキシコ製品に対する制裁関税の発動見送りが好感されたことになります。結局、終値は+249円2万1,134円と続伸し、2万1,000円台を回復して引けました。

(今週の指標)日経平均株価

 今週は、先週末に5月米国雇用統計の悪化で米利下げ期待がさらに高まり、メキシコへの追加関税停止発表で、NYダウは+263ドルの2万5,983ドルと5日続伸で引けていることで、2万1,000円台を回復。その後は、NYダウの上昇がどこで止まるかになりますが、利下げは円高要因でもあり、後半はメジャーSQに向けて様子見となりそうです。2万1,000円台を回復しても2万1,000円台を維持できるかどうかが注目です。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週は、日ごとに利下げ確率が高まったことでNYダウは上昇を大きくしました。以降は、貿易摩擦や経済指標の動向を受け、いつ利下げするのか(6月か、7月か)がカギとなります。

 トランプ米大統領は7日にメキシコからの全輸入品に対する5%の関税を見送ると発表したことで、米中貿易摩擦の後退。利下げ観測と組み合わされて一服はあるにしろ、さらに上値が期待できるところです。ただし、米中交渉がスムーズにいかなければ上値は重い展開となります。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、先週末の5月米国雇用統計の悪化で1ドル=107.87円までのドル安・円高となっており、他の経済指標も悪化すればますます利下げ期待が高まり、ドルが売られる可能性があります。ただし、メキシコへの追加関税を停止したことや、経済指標が好調であればリスク回避的なドル売りは縮小し、ドルが買われてくることも考えられます。

 

先週の結果

先週は、短期のリバウンド、米利下げ期待でNYダウにツレ高

 米国市場で、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が利下げを示唆したことで、NYダウが急反発し、4日で900ドル強の上昇となりました。そのため日経平均も6月5日(火)から大幅反発に転じ、7日(金)は+110円の2万884円となりました。NYダウの上昇のわりに日経平均の上昇率が低いのは、為替が円高基調となっているためです。FRBの利下げ観測は米国株式にとってプラスでも、日本にとっては日米金利差縮小の思惑で円が買われやすくなるため、日経平均の上値は重たくなります。

3日:先週末の米国市場では、米中貿易摩擦の激化、長期化見通しに加え、トランプ大統領のメキシコからの輸入品全部に5%の課税を発表したことで、NYダウは▲354ドルの2万4,815ドルと急落。これを受けて日経平均は▲273円で寄り付き、一時▲295円の2万305円まで下落し、終値では▲190円の2万410円と2万500円割れで4カ月ぶりの安値水準となりました。 

4日:朝方は+24円の2万435円で寄り付き、+53円の2万464円と自律反発。しかし、円高進行と上海株式の下落でマイナスに転じ、為替も1ドル=107円台に入ったことで、一時▲121円の2万289円まで下げました。その後は円高一服と日銀のETF買いで▲2円の2万408円で引けました。しかし、引け後の米国市場では、パウエル議長が利下げを示唆したことで、米国株式は全面高となり、NYダウは+512ドルの2万5,332ドルと今年2番目の上昇幅を記録しました。

5日:前日のNYダウ上昇を受けて、日本市場は、+259円の2万667円で寄り付き、2万800円まで上昇し、終値は+367円の2万776円で、予想外の大きなリバウンドになりました。「マド」を大きく空けた上昇であり、目先は底入れとは言えません。売られ過ぎからの買い戻し中心の上昇と言えます。 

6日:前日の米国市場は、利下げ期待が続き主要3指標そろって2日続伸ですが、日経平均は▲30円の2万745円で寄り付き、+66円の2万842円まで上昇。しかし、買い手掛かりに乏しく▲2円の2万774円と小幅反落しました。市場ボリュームは減少しており、売買代金は5月30日以来、7日ぶりの2兆円割れとなりました。 

7日:前日の米国市場は、メキシコとの協議進展報道で3指標は3日続伸となり、これを受けて日経平均は+85円の2万859円で寄り付き、後場には+135円の2万907円まで上昇して、終値は+110円の2万884円で引けました。見かけはしっかりした動きですが、出来高、売買代金が少ない中の米国株式の上昇にサポートされて、買い戻しによる上昇と思われ、ここからの上値は重くなると思われます。NYダウの上昇が止まればそこまでだと考えられます。

 この日の日本市場の引け後の米国市場は、注目の5月雇用統計が市場予想を大きく下回ったことで利下げ観測の確率がさらに高まりました。また、メキシコに対する追加関税の回避が決定したことで、NYダウは+263ドルの2万5,983ドルと5日続伸。そのためシカゴ日経先物も+115円の2万1,035円と2万1,000円台を回復しています。