鉄道通信・信号システムの国内最大手、「科創板」IPO計画で再評価に期待

現地コード 銘柄名
03969

中国鉄路通信信号

(チャイナ・レールウェイ・シグナル・アンド・コミュニケーション)

株価 情報種類

 5.29HKD
(5/28現在)

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 中国鉄路通信信号(CRSC)は鉄道向け通信・信号システムの国内大手であり、電力制御の株洲中車時代電気(03898)と並ぶ、鉄道システムの有力プロバイダー。一部製品の技術レベルではすでに世界トップクラスにある。BOCIは主力製品における同社の競争力を高く評価し、バリュエーション面でプレミアム水準に値するとの見方。現在株価(19年予想PER11.7倍相当)は魅力的な水準にあるとみて、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 CRSCと株洲中車時代電気はそれぞれ機能の異なる高速鉄道技術を有する。うちCRSCの製品は主に、線路や駅、中央システムハブなどに配置された設備と列車との通信をコントロールする。すなわち、列車の速度管理や安全性管理を支えるとともに、列車とその他設備との伝達を担うのが同社システム。高速鉄道で60~65%、都市地下鉄で約30%のシェアを握り、圧倒的なトップの座にある。中国の国家鉄道システムへの参入障壁は極めて高く、特に閉鎖性の高い高速鉄道部門では、設備サプライヤーは少数の国有企業のみ。半面、地方政府が一定の権限を持つ都市地下鉄はある程度門戸を開放しており、より競争環境が厳しい。その中で、CRSCとフランスに本社を置く多国籍企業アルストムとの合弁会社が最大手となっている。

 CRSCによれば、チップ調達面では現在、特に問題は生じておらず、通常通り。仮に海外からの調達に問題が生じても、国内のサプライヤーから調達することが可能とみられ、BOCIはこの点に関して懸念はないと報告している。

 一方、同社のA株上場計画は香港市場での再評価につながる要因。一般的に、ハイテク銘柄のA株株価は同一企業のH株株価をかなりの幅で上回る。同社が上場を計画しているのはハイテク新興企業向けに新たに設置される「科創板」(サイエンス&テクノロジー・イノベーション・ボード)だが、この「科創板」では6月後半にも、第1陣が上場する見込み。同社がその1社となる可能性が高い。

 BOCIによれば、同社の現在株価は19年予想PER11.7倍にとどまり、中国中車(01766)のバリュエーションに対して13.4%のディスカウント水準にある。A株IPO計画に伴うEPSの希薄化率は、IPO前の段階で最大25%、IPO後に20%となる見通しという。BOCIは利益見通しや目標株価を据え置いた上で、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇全体相場の一段の下落の可能性、◇市場シェアがこの先後退する可能性を挙げている。