今週の予想

今週は、短期のリバウンドあっても下値模索の動きへ

 ゴールデンウィーク明けの週から4週連続安で下げ幅1,650円以上の下落となった先週末。短期のリバウンド期待があるところですが、外部環境では支援材料がほとんどなく、下値模索の動きとなりそうです。

 米中貿易摩擦の長期化懸念の中、「ファーウェイ問題」がくすぶり、中国のレアアース輸出制限という報復措置も浮上し、メキシコへの追加関税も決まっています。

 また、トランプ米大統領は6月3~8日にかけて欧州を訪問しており、そこで貿易問題が飛び火すれば貿易摩擦の拡大、深刻化の可能性があります。

 チャートは、25日移動平均線が75日移動平均線を割り込むデッドクロス直前であり、下値を探る状況となっています。

 今回の下げは、どこまで下げるか分からない不気味さがあります。というのは以前も指摘しましたが、単なる米中の貿易摩擦を超えて、世界のハイテク覇権を巡る闘いになっているからです。つまり、米中の「戦争」なのです。国家が争うときは、経済より政治が優先されることになるため、落ち着くまでは手を出さないことが基本と言えます。
中国の通信機器大手ファーウェイを締め出すのは、5G(次世代移動通信システム)を取り込みたいという米国側の思惑です。米国は中国をいったん叩きのめすまで、貿易戦争の継続を考えているかもしれません。

 6月3日は、先週末の欧米株式の下落を受け、▲273円の2万327円で寄り付き、一時▲295円の2万305円まで下落。その後はいったん下げ渋るものの、再び安値圏で停滞する場面がありました。しかし、日銀のETF(上場投資信託)買い期待が支えとなり、大引けにかけて持ち直しましたが、戻りは限定的で▲190円の2万410円でした。

(今週の指標)日経平均株価

 今週も米中貿易摩擦の長期化を背景に、中国のレアアースの禁輸という報復措置が予定されており、外部環境に支援材料はありません。どこかで多少のリバウンドがあったとしても上値は限定的で、下値模索が続くことになりそうです。

 下値ポイントとしては12月25日の1万9,117円から4月24日の2万2,362円までの上昇幅の3分の2押しで約2万200円であり、この下は2万円の大台を巡る攻防となります。最悪の場合は、2018年12月25日の1万9,117円に対するダブル底のような二番底も考えられます。この水準は2018年10月2日の2万4,448円からの下降トレンド(B)にサポートされるところです。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週も米中貿易摩擦の長期化を背景に、先週末にメキシコへの追加関税引き上げ発表もあり、中国も対米報復措置として、レアアースの禁輸を表明しており、投資家心理は悪化が続くことになります。

 チャートの形を見ても、先週末で3月11日の安値2万5,208ドルを切る2万4,815ドルと下放れしており、下値ポイントは2018年12月26日の2万1,712ドルから、4月23日の2万6,695ドルまでの上昇幅の3分の1押しである2万5,034ドルをすでに切っていますので、2分の1押しの2万4,204ドルが次の大きな下値ポイントとなります。その前に2万4,400ドル水準にフシがあります。

(今週の指標)ドル/円

 今週も米中貿易摩擦長期化でドル売り、円買いの基調は続くと思われます。

 週末の5月の雇用統計発表を始め、多くの経済指標の発表があるものの、好調であってもFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測は払拭されず、リスク回避の円買いは継続する可能性があります。1ドル=107~110円のレンジを想定。

先週の結果

先週は、週前半堅調だったものの、米中貿易摩擦の長期化懸念とメキシコへの関税で急落

 週前半は堅調だったものの、米中貿易摩擦の長期化が世界経済に与える悪影響への懸念から欧米株式が下落し、続いて日経平均も連動して30日(木)には、ついに終値で2万1,000円を割り込み、週末はトランプ米大統領のメキシコへの関税発言で円高も進行したことで、▲341円の2万601円と2万751円を切って引け、チャートでもきれいな形の売り転換となりました。

27日(月):前週末の欧米株高を好感し、買い先行となって一時+115円の2万1,232円まで上昇しましたが、上値重く+65円と3日ぶりの小幅反発でした。 

28日(火):前日の米国市場はメモリアルデーのため休場で、手掛かり材料に欠けるものの、時間外の米株先物高を受けて+115円の2万1,297円まで上昇しました。その後、高値圏でのもみ合いが続きましたが、材料不足で上値は限定的で+77円の2万1,260円の続伸でした。出来高17.1億株、売買代金2兆9,130億円と膨らんでいるのは、MSCI指数定期銘柄見直しに伴う売買の結果でした。

29日(水):前日の米国市場で、米中貿易戦争の長期化による世界経済の減速が懸念され、米10年債利回りが1年7カ月ぶりの低水準である2.26%台まで低下したことを嫌気し、主要3指標そろって下落したことで、日経平均も▲204円の2万1,055円で寄り付き、一時▲375円の20,884円まで下げましたが、終値ではかろうじて2万1,003円と、2万1,000円を守って引けました。

30日(木):前日の米国市場で3指標そろって続落したことで、日経平均も▲121円の2万881円で寄り付き、一時▲194円の2万809円まで下げました。後場になると日銀のETF(上場投資信託)買い期待に支えられ、引けにかけて下げ幅を縮小するものの▲60円の2万942円と3月25日以来の2万1,000円を下回って引けました。

31日(金):週末になると、前日の米国市場は、小幅ながら3指標そろって反発しました。しかし、日本時間の朝方、トランプ大統領がツイッターで6月10日よりメキシコからの輸入品全部に5%の関税を課すと表明したことで、為替は円高、ドル安に傾き、1ドル=108円台への円高進行となったことで、大引け間際には▲360円の2万581円まで下げ幅を拡大。終値は▲341円の2万601円で引けました。チャートでは、同時に2つの売り法則が出現して、きれいな売り転換となりました。

31日(金)の日本市場の引け後の米国市場では、トランプ大統領が「メキシコからの全ての輸入品に5%の追加関税を課す」と発表したことで、米景気後退への懸念が高まり、3指標は大幅下落。NYダウは▲354ドルの2万4,815ドルと3月11日の安値2万5,208ドルを下回って、今年の安値更新となりました。下放れの形となっており、2018年12月26日の2万1,712ドルから4月23日の2万6,695ドルまでの上昇幅の半値押しの2万4,204ドルが意識されるところです。シカゴの日経先物は▲115円の2万425円でした。