米中の対立深まる。日経平均の上値は重い

 先週の日経平均は1週間で516円下落し、2万601円となりました。トランプ大統領が日本時間で31日朝、ツイッターで「メキシコからの全輸入品に6月10日から5%の関税をかける」と発言したことが嫌気されました。メキシコから米国への不法移民問題が解決されない限り、対メキシコの関税率を、7月1日に10%、8月1日に15%、9月1日に20%、10月1日に25%に引き上げるとしています。

 中国通信大手ファーウェイへの禁輸制裁、中国からの輸入品への関税引き上げが不安視される中、メキシコへの制裁も強めることとなり、世界景気が悪化する懸念が広がりました。

 また、31日に中国国家統計局が発表した5月のPMI(製造業購買担当者景気指数)が、前月比0.7ポイント低下の49.4と、50を割り込んだことも嫌気されました。中国景気が悪化する懸念が再び強まっています。

 こうした不安を反映し、5月に入ってから、米国・中国を含む、世界の株式市場が軟調に推移しています。

日経平均・NYダウ・上海総合株価指数の動き比較:2017年末~2019年5月31日

出所:楽天証券経済研究所が作成。2018年末の値を100として指数化

日経平均は二番底を試す展開か?そこは良い買い場になると判断

 今週の日経平均は続落が予想されます。米中、米メキシコ間の貿易戦争がエスカレートする不安、世界景気が悪化する不安、じりじり進む円高が嫌気されそうです。ただし、そこは、長期的に買い場となると見ています。私は、2019年に世界景気が悪化し、2020年に回復すると予想しているからです。

 日経平均は、以下のチャートをご覧いただくとわかる通り、近年、景気の転換点で「二番天井」「二番底」をつけてトレンド転換するパターンを繰り返しています。

日経平均株価の推移:2015年1月5日~2019年5月31日

出所:楽天証券経済研究所が作成

 日経平均は目先、貿易戦争への不安から二番底を模索する展開となる可能性があります。ただし、そこは、長期投資で良い買い場になると判断しています。

 その理由は、3つあります。

【1】日本株が配当利回り、PER(株価収益率)などの株価指標から見て割安

【2】日本企業の財務・収益基盤が堅固になってきた

【3】世界景気は2019年に悪化・20年に回復

 このように、予想しているためです。

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