アンドロイド端末への浸透で業績回復の兆し、米中摩擦の激化がリスク要因に

現地コード 銘柄名
02018

瑞声科技控股

(AACテクノロジーズ)

株価 情報種類

 43.05HKD
(5/20現在)

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 SLS(スーパーライナーストラクチャー)やポップアップカメラ・ソリューション、光学部品といった自社製品のアンドロイド端末への採用が進む中、瑞声科技の業務は19年1-3月期に持ち直す兆しを見せた。BOCIは続く4-6月には成長軌道を回復するとの見方だ。ただ、米中摩擦の激化を受けたスマートフォンのグローバル・サプライチェーンの混乱が不透明要因。BOCIは利益見通しを減額修正した上で、目標株価を引き下げ、株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

 5月17日に発表した19年1-3月期決算は、純利益が前年同期比62%減の4億3,200万元。主に利益率の上振れにより、市場コンセンサス予想(3億6,900万元)を上回った。

 売上高(37億5,300万元)は前年同月比19%の落ち込みとなったが、SLSを含む主力製品がアンドロイドOSの旗艦モデルにほぼ全面的に採用されたことがプラス材料。次世代型SLSが、中価格帯のアンドロイド・スマホにも浸透し始めた。

 同社が独占権を持つステッピングモーター・モジュール・ソリューションも、アンドロイド・スマホの一部有力ベンダーによってポップアップカメラ向けに採用され、全画面スマホ用の主要ソリューションとなりつつある。経営陣は19年通期の同製品の出荷個数が1億個の大台に乗ると予想。20年にはさらに2億個に倍増する可能性もあるとしている。

 光学製品全体を見ると、1-3月の売上高は前年同期比72%増の1億5,100万元。マスマーケット向け製品を手掛ける主要アンドロイドスマホ・ベンダー全てに浸透した。部門粗利益率は低調だったが、これは一部の低利幅製品が設備稼働率や効率などの点で足を引っ張ったため。4-6月には新たなアンドロイド・スマホの発売を背景に、光学製品の出荷個数が月間3,000万個に上向く見込み。より高度な部品がマス向け端末に採用されるのに伴い、平均販売価格や利益率も上向く可能性が高い。

 BOCIは売上高および利益率に関する想定値を引き下げ、19-21年の予想純利益を59-60%減額修正した。20年予想PER13.2倍(従来と同水準)をあてはめた上で目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する中立見通しを継続した。同社株は現在、過去5年のPER中央値とフォワードPER13倍から-1標準偏差の間で取引されているが、BOCIは世界のサプライチェーンを取り巻く短期的な不確実性に言及。同社株価のボラティリティーが今後さらに高まる可能性を指摘している。

 一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは米中摩擦に絡むスマホ・サプライチェーンが分裂の可能性を指摘。仮にそうなれば、同社利益に大きなインパクトを与える可能性があるとしている。