今週の予想

今週も懸念材料多く、2万1,100~2万1,400円の中でのもみ合いが基本

 今週も先週に引き続き、米中貿易摩擦の長期化が懸念される中で、懸念材料が多く、日経平均株価の上値を重くする状況となっています。

 米国によるハイテクの覇権をめぐってのファーウェイの締め出し、欧州議会選でEU(欧州連合)懐疑派の伸長の可能性、英国のメイ首相の辞任をめぐる政治の流動化、さらに欧米の景況感悪化などが材料です。

 基本的には、NYダウ平均株価も週足で5週連続の続落(2011年以来)となっており、上値の重い状況が続いています。

 24日(金)のように、日経平均株価が2万1,000円をザラ場で割っても終値では押し目買いを呼び込んで2万1,000円を回復していますが、NYダウ、上海株式がもう一段下落となればそうはいきません。

 今週も2万1,000円を守れるかどうか注目となります。

 現在、この数カ月の動きでは、2万1,000円から上にいくにしろ下にいくにしろ、トレンド転換の境界線のようになっています。

 上に転換する場合は2万1,400~2万1,600円を突破してからということになり、逆に下への転換のシグナルは2万1,000円を割り込み、14日(火)の2万751円を下に切ってからということになります。そのため、強弱感が対立して2万1,000円が境界線のようになっていると言えます。そう考えると、今はリスクをとらない人は、投資を休むタイミングでしょう。

 個別政情に大きな変化がなければ2万1,000~2万1,400円台のレンジの動きが想定されます。

 27日(月)は、先週末の欧米株式が堅調だったことで、買い先行するも、一時+115円の2万1,232円まで上昇してからは上げ幅を縮小し、後場は2万1,100円台の後半でもみ合いとなって、+65円の2万1,182円で引けました。引け後の米国市場はメモリアルデーの祝日で休場のため、日本市場には外国人投資家の参加者は少なく、売買代金は1兆4,713億円と約4年5カ月ぶりの低調さでした。

 (今週の指標)日経平均株価

 今週も引き続き、米中貿易摩擦の長期化懸念を背景にファーウェイ問題、英国のメイ首相辞任、欧州議会選挙結果による欧州政治リスク、欧州の景況感悪化など懸念材料多く、日経平均の上値を一段と重くする状況となっています。

 NYダウも同様に上値の重い状況となっており、注意が必要です。

 14日(火)の安値2万751円を切ると本格調整の可能性もあります。何もなければ先週と同じように2万1,000円を終値で守る攻防が見込まれます。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 今週も先週と同じように、米中協議が停滞した状態で中国大手通信ファーウェイとの取引停止を打ち出しており、不透明感が広がったまま。

 そんな中でメイ首相辞任後の党首選、欧州議会選挙の結果が英国のEU離脱問題にどう影響を与えるか注目となります。

 5月は節税目的の個人退職年金の流入が一巡し、需給面の好材料がなくなっていく時期でもあり、また一方で、2011年以来の週足5週続落が気になるところです。3月11日(月)の2万5,208ドルを終値で切ると調整が長引くことになります。

(今週の指標)ドル/円

 今週も英国のメイ首相の辞任での政局の流動化や欧州議会選挙の結果を背景にユーロ売り、ドル買いとなるものの、米中通商協議の長期化懸念でリスク回避のドル売りも出てくるため、ドルの上げ渋りが続くとみられます。また、欧州の政局不安からリスク回避の円買いの可能性も。108.5~110.5円のレンジを想定。

先週の結果

先週は、最小限のリバウンド2万1,430円。一時2万1,000円割り込むものの終値2万1,000円台を守る

 先週は、週始めに2万1,430円の高値をつけた後は、2万1,100円前後~2万1,400円のもみ合いとなっていましたが、週末の24日(金)の前場は米中貿易戦争の長期化懸念で、前日のNYダウが▲286ドルの2万5,490ドルと下げたことで、一時▲229円の2万922円まで下落。終値では下げ幅を縮小して▲33円の2万1,117円。終値ベース2万1,000円台を守りました。

 この下げは、米中貿易問題要因というより、ファーウェイ禁輸措置が世界のハイテク覇権を争うトランプ米政権の意思の現れという認識によるものだと思われます。よってファーウェイ禁輸は、米中首脳会談を有利に進めようとするトランプ米大統領の交渉戦術があるのかもしれません。

20日(月):前週末に米国で強い経済指標を好感してドルが買われ、1ドル=110円台の円安になったことや、寄り前発表の1~3月期GDP(国内総生産)が年率換算+2.1%と予想の+0.2%を上回ったことで、一時+179円の2万1,430円まで上昇しました。しかし、GDPの中身を見ると個人消費は低迷しており、上値は重く上げ幅を縮小して+51円の2万1,301円と続伸で引けました。

21日(火):前日の米国市場でファーウェイ制裁の余波からハイテク株が急落し、これを受けて日経平均もハイテク株中心に売りが出て、一時▲141円の2万1,160円まで下げました。しかし、後場になると上海株式の上昇が支えとなり、日銀のETF(上場投資信託)買いも期待されたことで、下げ幅を縮小し、▲29円と3日ぶりの小反落でした。

22日(水):前日の米国市場では、ファーウェイの取引禁止措置の中で一部取引に90日間の猶予期間を設けるということがプラス材料となり、3指標そろって反発したことで、日経平均前場は一時+132円の2万1,404円まで上昇しました。後場には先物主導で一時マイナスになる場面もありましたが、+10円の2万1,283円と小反発して引けました。

23日(木):前日の米国株式が3指標そろって反落したことや、上海株式の下落で▲210円の2万1,072円まで下落し、その後下げ幅を縮小しましたが買いが続かず、▲132円の2万1,151円と反落しました。

24日(金):前日の米国市場は、米中貿易戦争の激化見通しを嫌気し、主要3指標大幅続落となりました。きっかけは中国側が「通商交渉を続けたいなら米国は態度を改めるべきだ」「中国は主要問題では譲歩しない」と発表してきたことです。

 これを受けて、NYダウは一時▲448ドルの2万5,328ドルまで下落。ドルは売られて10年債利回りは一時2017年10月以来の2.3%割れとなり、NY原油は1バレル=57.91ドルと5%以上の下落となりました。これを受けて日経平均は、一時▲229円の2万922円まで下落。後場になると底堅く、大引けにかけては株価先物を買い支えて下げ渋りの流れとなり、ETFの買いも観測されて、▲33円の2万1,117円と小幅の続落で引けました。

 24日(金)の日本市場の引け後の米国市場では、トランプ大統領が米中貿易戦争の早期終結の可能性に言及したことで、過度の懸念が後退し、NYダウは+95ドルの2万5,585ドルと3日ぶりに反発。ドルは、対ユーロでドル売りが強まり、円に対しても1ドル=109.29円で引けました。シカゴの日経先物は+25円の2万1,125円でした。