75日移動平均線が抵抗に。下値を探る展開は回避
先週末5月24日(金)の日経平均株価は2万1,117円で取引を終え、前週末終値(2万1,250円)からは133円安、週足ベースでは3週連続の下落となりました。
新元号「令和」になってからの日経平均は週足ベースでまだ上昇したことがありませんので、そろそろ反発が欲しいところではありますが、日本株の方向感はまだ「手探り」の状況が続きそうです。
その点について細かく見ていく前に、まずは下の図1で足元の様子から確認していきます。
■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年5月24日取引終了時点)
先週の日経平均の値動きを振り返ってみますと、前半が戻り基調で後半が下げ基調となりました。上値が75日移動平均線に抑えられ、その後失速してしまいました。前回のレポートでもこの75日移動平均線の上抜けは焦点のひとつとなっていましたが、これまでサポートとして機能していたのが今度は抵抗としての役割を担い始めた格好です。
その一方で、下値はどうかと言うと、週末24日(金)に節目の2万1,000円台を下回る場面があったものの、終値ではしっかり回復して終えています。また、この日の安値(2万922円)も直近安値(5月14日の2万751円)を上回っています。
先週の株式市場を取り巻く環境は、米国による中国企業ファーウェイ(華為技術)への制裁の余波と不安が拡大していたこともあり、決して良好なムードではなかったのですが、そんな状況にもかかわらず、下値を探る展開にならなかったことは明るい材料と言えます。
下値は堅いが、まだ底打ちを探っている?
また、週足チャートで見ても、下値の堅さがうかがえます(下の図2)。
■(図2)日経平均(週足)の動き(2019年5月24日取引終了時点)
週足ベースでは、先週の日経平均が陰線ながらも26週移動平均線のところで踏みとどまっていることが分かります。2週連続で26週移動平均線がサポートとなっているため、目先の下落は一服した印象があります。
下落が一服したとなれば、次は戻りの強さが意識されることになりますが、こちらについては、5月の大型連休明けの週に見せた大陰線がカギを握っています。この線は52週と13週の2本の移動平均線をまたぐ大きなものとなっており、いわゆる「2本下抜け」となっていて、下方向への意識が強い形となっています。
確かに、直近2週間のローソク足は26週移動平均線がサポートとして機能はしているものの、ローソク足の実体(箱の部分)は、先ほどの大陰線の実体に届いておらず、戻りを試す動きになっていませんので、まだ底打ちを探っている状況と考えた方が良いのかもしれません。
日足チャートでは「Wボトム」形成が意識される
そして、この株価の底打ちについて、再び話を日足チャートに戻してもう少し詳しく見ていきます。
■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年5月24日取引終了時点)
日経平均の直近高値は4月26日の2万2,362円ですが、この日を境にして下落に転じ、5月14日の安値2万751円をつけた後にひとまず反発を見せ、そして先週にその反発が失速したという値動きになっています。
文章で書いてしまうとややこしくなりますが、こうした動きを図3で矢印を使って描いてみると、いわゆる「Wボトム」が意識されつつあるような格好になっています。今後、株価が上昇してネックラインとなる75日移動平均線や戻り高値(2万1,430円)を上抜ければ、Wボトムが形成されることになり、さらなる株価の戻りが期待できる形になります。
反対に株価が下落し、直近安値を下抜けてしまうと、下げが加速しやすい展開へと舵を切ることになります。図3を見ても分かる通り、下値が切り下がっている傾向となっているだけに注意が必要です。
そのため、今週の日経平均は、5月14日の直近安値(2万751円)と、5月20日の戻り高値(2万1,430円)の範囲内で動くというのがメインシナリオで、ここを超えた時に要警戒というのがサブシナリオになりそうです。
ちなみに、米NYダウも日経平均と同じく、75日移動平均線とWボトムの形成が意識されていますので、こちらも併せてウォッチしていく必要がありそうです。
■(図4)米NYダウ(日足)の動き (2019年5月24日取引終了時点)
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