前日(8月29日)の市況
ドル/円:北朝鮮のミサイル影響で108円前半に急落も、109.90円まで急反発
北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、ドル/円は、東京時間の朝に109円台前半から108円台前半へ一気に急落しました。リスク回避姿勢が強まり、日経平均が下落、日本国債の利回りも0%近くまで低下しました。
欧州時間には108.26円まで値を下げ、年初来安値の更新も時間の問題かと思われました。
しかしニューヨーク時間になって急速に反発。109円を回復してからも勢いは止まらず、109.90円までの大幅反発となりました。終値は109.656円(前日比+0.41円)で、終わってみれば前日比プラスで引けました(チャート1)。
「これまでにない深刻かつ重大な脅威」(安倍首相談)が迫る中で、なぜ、ドル/円はあっさりと買い戻されたのでしょうか?
マーケットはおそらく、「米国が軍事行動を起こすことはない」と見切ったのでしょう。今まで通りのにらみ合いが続くだけで、状況がすぐに悪化することはないとすれば、「今年の下限にいるドル/円は買い場だ」という仕掛け的な動きが、ドル/円を押し上げたのだと考えます。
とはいえ、解決の糸口が見えないこのリスクは、相当長い期間にわたってドル/円を悩ませることになるでしょう。
ユーロ:ユーロ/ドルは、2015年以来の1.20ドル台から反落
ユーロ/ドルは大幅反発。2015年以来の1.20ドルに乗せると、一気に1.2069ドルまで上値を伸ばしました(チャート2)。ただ、ニューヨーク時間午後には買い疲れもあり、1.19ドル半ばへ反落。
これは、ジャクソンホールでドラギECB(欧州中央銀行)総裁が、ユーロ高に対してコメントしなかったことがユーロ買いの安心感となりました。加えて、地政学リスクを嫌ったドル売りの受け皿としてユーロが選ばれていることもあります。
ユーロ/円は、ドル/円とユーロ/ドルの両方からの追い風を受けて、131.68円まで上昇。今月の高値をつけました(チャート3)。
本日発表される注目指標
ユーロ圏では、ドイツの8月CPI(消費者物価指数)の発表があります。
米国のADP雇用データは、今週金曜日発表の8月分雇用統計の先行指標として注目です。米国の4-6月期 GDP(実質国内総生産)の改定値が発表され、速報値よりもやや改善して前期比年率2.7%と市場では予想しています。
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