2019年3月期の決算発表シーズンが終わりました。決算発表後の「株価乱高下」が相次いでいますが、筆者は注視していることがあります。

決算発表シーズンの風物詩「株価の乱高下」

 長年、株式投資をやってきて、筆者が最もやりづらいと感じるのが「決算発表シーズン」です。それまで株価の上昇が続いていた銘柄が突然急落したり、逆に株価が低迷していた銘柄が一気に急上昇したりと、それまでの株価のトレンドが一瞬で変わってしまうことが多いためです。

 確かに、決算発表をきっかけとして保有株が急落するとなかなか厳しいものがあります。その一方で、買う機会を逸して保有できていなかった銘柄が株価急落になることも少なくありません。

 

筆者が注目するのはどんな銘柄か?

 筆者は、売買のタイミングについては常に自分でルールを設定し、それを遵守しています。それにより大きな損失を回避しています。

 一例を挙げると、株価が25日移動平均線を超えている場合のみ「買い」および「保有する」、また25日移動平均線からのかい離率がプラス5%を超えている場合は「新規買いを控える」などのルールを設けています。そして筆者が主な投資対象としているのは、増収増益が続くいわゆる「成長株」です。

 新たな成長株を見つけても、すでに大きく買われていて、移動平均線からのかい離率がプラス5%を大きく超えている場合があります。あるいは、何らかの理由で突然株価が大きく上昇してしまった結果、買いの機会を逸することもあります。

 でもそのような「買いたかったけど買えなかった株」の株価が決算発表をきっかけとして大きく下落したなら、筆者のルール上において買う可能性が高まるのです。

業績予想はどうなっているか?

 今時期の3月決算銘柄であれば、当期(2019年3月期)の業績と、来期(2020年3月期)の業績予想をチェックします。

 当期の業績が前期より伸びていて、来期の業績予想も当期より伸びる予想であることが原則です。したがって、来期の予想が大幅に減益という銘柄は投資候補から外します。

 その上で、決算発表後の株価の動きをみます。もし決算内容を好感し、株価が急上昇して移動平均線からのかい離が大きくなった場合は「買いを見送り」ます。

 逆に決算発表後株価が下落した場合は、移動平均線を割らず、かつ移動平均線からのかい離が5%未満となったなら新規買いを検討します。移動平均線を割り込んだ場合は、再度移動平均線を超えたら「新規買い」とします。

 

決算発表後に大きく売られてもあきらめるのは早い

 決算発表後の動きで多いのが、増収増益が続いているにもかかわらず、決算発表をきっかけとして大量の利食い売りが入り、プロや外国人の予想よりも会社発表の業績予想が低いことで大きく売られるというケースです。

 しかし、増収増益が続くことが期待される銘柄であれば、そうした売り物が一巡すると、好業績を好感した買いが入ってきて、やがては移動平均線を再度超えてきて上値追いをする可能性があります。

 なので、好業績が続いて「買おうかな、でも株価が上昇しすぎているな」という銘柄が決算発表で大きく売られても、そこであきらめるのではなく、その後の株価の推移をしっかりウォッチしておくことが重要です。

増収増益が続かなくても買いの候補となる可能性も

 このように、増収増益で、かつ株価が自分で決めた買い実行の範囲内(株価が移動平均線を超えで、移動平均線からのかい離率がプラス5%以内)に入ってきたら「新規買い」を行うことを原則にしています。

 ただ、毎年増収増益が続く銘柄ではなくとも、株価が上昇するケースも多々あります。代表的なのは次の2つです。

(1)当期の業績が前期より減益だが、来期は前期よりも当期よりも伸びる予想
(2)来期の予想が減益でも前向きな理由がある場合(先行投資による費用増加など)

 ですので、毎年増収増益が続いていなくても、当期の決算内容があまりにも悪く、来期に大きく落ち込む予想でない限りは、直近5年くらいの期間で見てみるとよいでしょう。それで増収増益の基調が見られるのであれば、投資候補となり得ます。その様な銘柄は上で説明したのと同様、決算発表後の株価の推移をウォッチする価値が大いにあります。

 ただ気をつけたいのが、例えば来期が減益予想の銘柄であって、「この程度の減益予想なら問題ない」と自分だけが考えても、他の投資家がそう思わなければ株価は上昇しません。

 そういった現象を避けるためにも、決算発表で株価が大きく値下がりしたのを見て下降トレンド状態で「安く買える!」と飛びつくのではなく、上昇トレンドに転じてから買うようにするのも良いでしょう。