消費税増税を控え、小売業の株価は低迷
2019年10月より、消費税率が現行の8%から10%に引き上げられます。しかし、今回の引き上げについて、どこか「本当に引き上げられるのだろうか?」という思い、それはつまり生活者の「消費税を上げないで欲しい」という期待の表れかもしれませんが、いずれにしてもそのようなものが(世の中に)あるように感じます。
政府はことあるごとに「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り引き上げる」と強調していますが、過去に2度延期されたこともあり、3度目の延期を予想する声が消えることがなくここまできています。実に不思議な“消費税増税前夜”が続いています。
そうした中、株式市場において消費税増税が重しになっていることは確かです。年初来、TOPIX33業種の中で「小売業指数」は目立って低迷、大手小売関連株の動きも同様です。
・セブン&アイ・ホールディングス(3382)
・ユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)
・三越伊勢丹ホールディングス(3099)
株式市場は増税後の「消費低迷」を見越している
ただ、同業種においても「安売り株」の一部には、比較的株価が堅調に推移している銘柄もあります。
・神戸物産(3038)
食材販売の「業務スーパー」をFC(フランチャイズ)展開しています。
・パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)
総合ディスカウント店「ドン・キホーテ」を展開しています。
この動きからは、株式市場はつかみどころのない増税延期への期待に迎合せず、消費税増税後の「消費低迷」を見越していることが分かります。2014年4月に実施された(5%→8%)消費税増税時には事前に「駆け込み需要」、事後に特に日用品を中心とする「消費低迷」があったことは言うまでもありません。
前回より引き上げ率が小さいことから、もしかすると限定的な動きになる可能性もありますが、現状「もしかすると延期されるかも」という風潮が根強くあることから、実際に引き上げられるとなると…そのインパクトが想定以上になることも考えられます。ここではあるかもしれない急激な「節約志向の高まり」と「駆け込み需要」の2つに絞って、10万円で購入可能な銘柄を取り上げます。
「節約志向」と「駆け込み需要」で注目の10万円株
株価データは2019年5月13日終値ベース。
ワッツ(2735・東証1部)
100円ショップ業界4番手企業です。小型直営店舗が多く、スーパーの一角などに出店しやすい特徴があります。2016年からはデンマーク雑貨店「ソストレーネ・グレーネ」の日本展開も手掛けています。
・ワッツの日足チャート
ハードオフコーポレーション(2674・東証1部)
パソコン・家電・自動車用品などのリサイクル中古品の仕入販売チェーンを展開しています。2019年3月期通期営業利益は17.9%減となったものの、今期同利益予想は17.0%増を見込んでいます。
・ハードオフコーポレーションの日足チャート
PLANT(7646・東証1部)
福井県に本社を置き、北陸~近畿で衣食住に関する商品を格安販売する超大型スーパーセンターを郊外中心に展開しています。売り上げ低迷の打開策として、300円均一雑貨店の導入を進めています。
・PLANTの日足チャート
MCJ(6670・東証2部)
格安パソコン製造・販売から周辺機器、通信、メディアにも展開を広げている企業です。大規模な設備投資を行わず、受注生産で在庫を持たない点が特徴。柱のパソコン販売は法人向け、EC(電子商取引)サイト経由が好調です。
・MCJの日足チャート
コジマ(7513・東証1部)
家電量販の中堅チェーンです。2012年にビックカメラグループの傘下に入り、経営再建を進めています。4月10日に2019年8月期上期の単独経常利益が前年同期比77.8%増の26.9億円に拡大したと発表しています。
・コジマの日足チャート
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