1968 (昭和43)年5月30 日

消費者保護基本法公布

 

 1968年5月30日、消費者保護基本法(現在の消費者基本法)が交付されました。

 この法律は、高度経済成長下において顕在化した消費者問題に対応するために制定されたもので、弱い立場にある消費者に対して、「消費生活における基本的な需要が満たされる権利、健全な生活環境が確保される権利、安全が確保される権利、選択の機会が確保される権利、必要な情報が提供される権利、必要な教育の機会が提供される権利、意見が政策に反映される権利、被害から適切・迅速に救済される権利」の7項目が骨子となって制定されています。

 消費者保護法には「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差を鑑み、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定める」と明記されていますが、この背景には森永ヒ素ミルク事件(1955年・1万2,000人が発病し133人が死亡)、スモン病発生(1955年・整腸剤キノホルムを飲んだ1万1,000人が運動障害を起こし、約500人が死亡)、サリドマイド事件(1962年・睡眠剤を飲んだ妊婦から、1,000人を超える身体障害者が出生)、などの事件への反省が込められています。

 また時代に対応するように消費者保護法のなかには、クーリングオフ制度(消費者が、ある商品やサービスの購入契約を行った場合、一定期間以内ならば、無条件で契約の取消・撤回が認められる)、PL法(製造物責任法/製造物の欠陥により、消費者に損害が生じた場合、その製造業者が損害賠償の責任を負う)、消費者契約法(不適正な勧誘・販売方法や消費者の利益を不当に損なう契約事項があれば、消費者は契約を取り消すことができる)など、さまざまな法律が追加されていきました。

 本法律の制定後、1970年には国民生活センターが設立され、一般的に立場の強い大企業や悪徳業者に対して、弱者である消費者の相談を受ける消費生活相談員が待機することになりました。

 一時期、規模縮小の危機にあった国民生活センターですが、第91代内閣総理大臣福田康夫氏が2007年に国民生活センターを訪れ、視察後に国民生活センターは重要な組織とし、その後独立行政法人となっています。

 

1968 年5月30 日の日経平均株価終値は

1,454円93銭

ライター FIX JAPAN 前沢ともあき