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『オフィスビル』仲介大手の三鬼商事は、『オフィスビル』の空室率や平均賃料を毎月中旬頃に公表しています。2019年4月の東京都心5区の空室率は1.70%となりました。月次データの残る2002年1月以降での最低を更新しました。平均賃料は緩やかながら上昇基調にあり、『オフィスビル』市況の需給は引き続き良好です。『オフィスビル』需要の堅調さから、2019年も『オフィスビル』市場の品薄感は続くと見られます。

 

【ポイント1】4月の都心5区の『オフィスビル』の空室率は過去最低を更新

新築・既存ビルともに空室率が低下

 5月9日に公表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の2019年4月の『オフィスビル』空室率は、前月比▲0.08ポイントの1.70%となりました。これは、月次のデータを振り返ることの出来る2002年1月以降で過去最低の水準となりました。

 新築ビルの空室率は同▲0.07ポイントの2.83%、既存ビルの空室率は同▲0.08ポイントの1.66%となり、新築・既存ビルともに低下しました。引き続き、『オフィスビル』の需要は旺盛な状況が続いている模様です。

 

【ポイント2】平均賃料は長期間にわたり上昇続く

64カ月連続の上昇

 2019年4月の都心5区の平均賃料は、前月比+0.7%の坪当たり2万1,279円でした。平均賃料は、2014年1月以降、64カ月連続の長期間にわたり上昇が続いています。

 平均賃料は、新築・既存ビルともに上昇しましたが、なかでも新築ビルは同+3.1%の同3万1,305円と一段と上昇し、前年比では+15.5%の大幅な上昇となっています。

 

【今後の展開】2019年も『オフィスビル』の需給はひっ迫感が続く見込み

 三鬼商事の「オフィスリポート東京2019」によると、都心5区の2019年の『オフィスビル』の新規供給は延床面積36万1千坪、31棟の竣工が予定されています。大規模ビルの半数近くが既に決定・内定していることや、既存ビルの需給にひっ迫感があることなどから、今後も都心5区の『オフィスビル』市場は品薄感が続くと見られます。

『オフィスビル』需要の堅調さもあり、J-REIT市場は堅調に推移しています。4月に入り、利益確定の売りに押される局面はあったものの、同月中旬以降は買い戻しの動きが見られています。日銀が物価見通しを引き下げ、金融緩和を継続する姿勢をより明確化したことなども、J-REIT市場の下支え要因と考えられます。