1796(寛政8)年5月14日

種痘記念日

 

 1796年5月14日、イギリスの外科医エドワード・ジェンナーが、天然痘の予防を目的に、世界で初めて種痘(しゅとう:天然痘のワクチンこと)の接種を行いました。

 当時、天然痘は極めて感染力も強く、致死率も高い伝染病で、世界中で流行していました。1663年の米国では、約4万人のネイティブアメリカンの集落で大流行し、生き残った者は1割しかいなかったと言われるほど。1770年にインドでの流行では、300万人の死者が出たなどの記録が残されており、日本においても「天然痘にかかるまではわが子と思うな」ということわざがあったほどです。

 NHKの大河ドラマで「八代将軍吉宗」で吉宗公が幼少のころ天然痘に罹患して一命を取り留めたが、あばた顔となってしまったエピソードが取り上げられ話題になりました。

 ジェンナー医師は、牛痘(牛の天然痘)を人間が罹患すると、軽い症状は出るが天然痘への免疫が獲得できることを発見し、天然痘ワクチンを作りました。

 これ以降、天然痘に感染する患者は激減し、1979(昭和54)年にWHO(世界保健機構)によって根絶が確認され、翌1980年に「天然痘根絶宣言」が行われました。ジェンナーは近代免疫学の父と呼ばれ、5月14日は「種痘記念日」とされています。

 

ライター FIX JAPAN 前沢ともあき