4月末の日経平均は2万2,000円台乗せ。今後も維持できるかがポイントに

 国内株市場は10連休の長期休場を終えて、いよいよ「令和」最初の取引週を迎えます。ただし、その幕開けは波乱含みのスタートになりそうです。

 連休中の海外株市場に目を向けると、注目のイベントを無難に消化しつつ、終盤までは堅調に推移していたのですが、最後の最後で軟調ムードが漂いはじめてしまいました。きっかけはやっぱりあの人、トランプ米大統領です。米中の通商交渉をめぐって関税引き上げに言及し、中国側に圧力を強める格好となりました。

 今週8日(水)から舞台をワシントンに移して米中間で閣僚級の協議が行われる予定のため、状況がどう転ぶかはまだ分かりませんが、まずは連休前の国内株市場の状況からおさらいします。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年4月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 4月末の日経平均株価終値は2万2,258円でした。前月末終値(2万1,205円)比では1,053円高と大きく上昇した他、昨年12月以来の2万2,000円台乗せを達成しています。

 値動きについても振り返ってみますと、「窓」空けによって株価水準を切り上げた後にもみ合いが続くという展開が繰り返されました。月初の4月1日の窓空けで2万1,500円台に、4月15日の窓空けで2万2,000円台へと2段階で切り上げて行きました。株価上昇の一方で、引き続き外部環境に左右されやすい相場地合いであることが分かります。

 また、週足チャートでも確認してみますと、株価が次々と移動平均線を上抜けた他、13週移動平均線と26週移動平均もゴールデンクロスが実現しています。さらに、ローソク足の並びも、上昇基調の中で窓を空けた後、短めの陽線が二本続いていて、「上放れ並び赤」と呼ばれる上方向への意識が強い形となっており(下の図2)、連休前のチャートの形は悪くはなかったと言えます。4月に入って上抜けた52週移動平均線はちょうど2万2,000円水準でもありますので、今後は2万2,000円台の維持がポイントになってきます。

■(図2)日経平均(週足)の動き(2019年4月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

連休中の注目イベントは無難に消化

 続いて、連休中の注目イベントについてもチェックしています。具体的には米国の経済指標やFOMC(米連邦公開市場委員会)、企業決算をはじめ、中国PMI(購買担当者景気指数)、米中閣僚級協議の北京ラウンドなど多くのイベントがありましたが、イベントの結果と市場の反応を下の図にざっくりとまとめました。

■(図3)連休中のイベント結果と市場の反応

イベント イベント結果 相場の反応
米GDP(国内総生産)
中国PMI ×
企業決算 Google:×
Apple:○
Google:×
Apple:◎
米ISM景況感指数
(製造業)
×
米FOMC △→×
米中閣僚級協議(北京) ○→△
米雇用統計

 個々の結果と市場の反応は強弱入り混じっていますが、全体的には目立ったネガティブサプライズはなく、これらのイベント通過を受けて米株市場はS&P500 やNASDAQが史上最高値を更新する相場地合いを続けていました。NYダウはまだ最高値を更新できていないものの、高値圏水準での推移となっていました(下の図4と図5)。

■(図4)S&P500(日足)の動き(2019年5月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

■(図5)NYダウ(日足)の動き(2019年5月6日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

今週は波乱含みのスタート。トランプ大統領の発言の影響は?

 ただし、冒頭でも触れた通り、米中関係悪化懸念の台頭がきっかけで、6日(月)の米国株は下落しています。

 トランプ大統領の発言は駆け引きに過ぎないとの見方が強いようですが、関税の引き上げは、最近まで「合意が近い」と言われていたこのタイミングで行うには刺激が強すぎるカードであり、むしろ、「米国が思っているほど交渉が進んでいなかったのでは」と捉えた方が自然なのかもしれません。実際に関税の引き上げは行われず、市場に安心感をもたらす展開も想定されますが、交渉の進展に対してあまり期待できず、株価を押し上げる力は限定的となる可能性があります。米中関係の悪化は中国経済の足かせになる他、国内外の企業業績の見通しを曇らせるなど、相場にとって負の材料の連鎖となるため注意が必要です。

 さらに、図3の表にあるFOMCについても、会合後のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の記者会見の内容が利下げ期待を後退させるとして株価が下落する要因となったことも留意すべき点と言えます。これまでFRBのハト派姿勢が株価を支えてきましたが、「利下げありき」をかなり織り込んでいたことをあらためて示したからです。

 そのため、今週の国内株市場は受け身になりがちで、日経平均は節目の2万2,000円台やこれまで突破してきた移動平均線などがサポートとして機能するかが焦点となります。新元号相場スタートのお祝いムードや国内企業決算を材料にして、株価が下がったところで買いが入るのかが試される週になりそうです。