天然ガス調達価格上昇が懸念材料、価格転嫁でマイナス影響は限定的か

現地コード 銘柄名
00384

中国燃気控股

(チャイナ・ガス・ホールディングス)

株価 情報種類

 24.40HKD
(4/18現在)

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 北京で行われた中国燃気控股の機関投資家向け説明会に出席したBOCIは、ガス調達価格をめぐる協議やコスト増大分の転嫁、さらにロシアからの新たな天然ガス供給による影響などについて、より多くの情報を得たと報告している。同業銘柄に対する同社株の最近のアンダーパフォームについては、正当な理由がないとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 国内の天然ガス供給市場で圧倒的なシェアを握るペトロチャイナ(00857)は、天然ガス輸入業務の赤字削減に向け、閑散期の非住宅向けガス契約価格を、「都市ガスゲート価格比で20%高」に設定する方針(ゲート価格は長距離ガス輸送ラインの出口価格。川下の都市ガス事業者にとっては仕入れ価格に当たる)。同社が閑散期にプレミアム価格を設定するのは初のケースであり、現在、影響を受ける省・市・自治区当局と同社との間で協議が進行中。今のところ、資金力などに応じ、ペトロチャイナの要求を受け入れるか拒絶するか、各省市区の対応が分かれているという。BOCIは最終的に、平均プレミアム率が20%を下回る水準に落ち着くとみる。

 ガス調達コストの増大は利益率悪化につながる点で、都市ガス事業者にとって短期的にマイナス。一般に、コスト増分を顧客に転嫁するまでには3-4カ月のタイムラグが生じる。ただ、中国政府は福建省を皮切りに、「自動的な価格転嫁メカニズム」を導入し始めており、都市ガス会社を取り巻く状況はこの先改善する見込み。また、政府は新たに国有パイプライン会社を設立する計画であり、これが実現すれば、都市ガス各社にとってはガス調達面の柔軟性が増す見通しという。中国燃気控股はすでに、ガス輸送パイプラインと直接接続している全プロジェクトの非住宅向け販売分について、自動転嫁メカニズムの導入認可を獲得済み。対象プロジェクトは同社全体の60-70%に当たる。

 一方、ロシアは19年12月から、中国向けにパイプライン経由の天然ガス輸出を開始する予定となっている。供給量を段階的に増やし、5年以内には年間380億立方メートルとする計画。これにより、供給不足から低迷している中国東北部のガス消費がこの先、急増する可能性が高い。

 4月17日には、都市ガス接続費の導入に関する観測が再浮上し、同社を含む都市ガス銘柄が売られる展開となった。ただ、BOCIは「煤改気」(石炭から天然ガスへの燃料転換)プロジェクトには影響しないとして、接続費によるマイナス影響は限定的との見方。市場の過剰反応を指摘している。

 BOCIは20年予想PER16倍をあてはめた目標株価を維持し、株価の先行きへの強気見通しを据え置いた。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスクとして、「煤改気」プロジェクトの現金回収が遅れる可能性と相対的に高い負債比率を挙げている。