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 ロボットには、産業用ロボットや『サービス用ロボット』、家庭用ロボットなどがあります。産業用ロボットは人間に代って製造の作業現場で労働を行う機器で、根強い省力化ニーズなどから導入が進み、日本企業が高いシェアを有します。一方、介護、警備、配膳などの一般業務に携わる『サービス用ロボット』の普及はこれからで、2020年の東京五輪は本格普及の契機となるのではないかと期待されており、今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】『サービス用ロボット』は産業用に比べ導入に遅れ

 国際ロボット連盟によれば、世界の溶接、組み立て用などの産業用ロボットは、2017年に過去5年間で販売台数が114%増となるなど拡大し、日本企業は世界の販売台数の約56%と高いシェアを有します。

 一方、介護、警備、配膳などの一般業務に携わる『サービス用ロボット』は、業務内容が複雑で作業環境が多岐にわたるため導入が遅れています。また中国企業なども競争力があり、国内企業は産業用ほどには優位性は有りません。こうした中、東京五輪が本格普及の契機となるのではないかと期待されています。

 

【ポイント2】東京五輪で『サービス用ロボット』を活用

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は競技大会でのロボットを活用した取り組みについて発表しました。この中で運営をサポートする3種類の『サービス用ロボット』を公開しました。

 車いす利用者をスタジアムの観客席へ誘導するロボット「HSR」と注文した飲食物などを届けるロボット「DSR」 は、どちらもトヨタ自動車が開発しました。DSRが棚に乗せて車いす観客席近くまで運搬し、HSRが受け取って観客に手渡すことを想定しています。

 装着型ロボットは競技会場などで、飲料やスーツケース、廃棄物など重い荷物を持ち上げる際に補助し、体にかかる負担を軽減する役割が期待されています。パナソニックが発売した「ATOUN MODEL Y」を、活用します。

 

【今後の展開】東京五輪に向け『サービス用ロボット』の本格普及に期待

『サービス用ロボット』の普及が広がるのはこれからとみられており、東京五輪は単にロボットを展示するだけではなく、実用性をアピールできる絶好の機会とみられています。また東京五輪に向けて、警備や観光案内などにロボットの様々な使用が検討されています。この機会をいかして、産業用ロボットで培った技術などを活用して国内企業が優位性を高め、『サービス用ロボット』が本格普及していくことが期待されます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。