日経平均は2万2,000円超え。プチ「ダイヤモンド・フォーメーション」も出現

 先週末4月19日(金)の日経平均株価終値は2万2,200円となり、約4カ月ぶりに節目の2万2,000円台に乗せてきました。前週末終値(4月12日の2万1,870円)からは330円高、週足ベースでも3週連続の上昇です。

 いよいよ今週は、「平成最後の取引週」となりますが、折しも国内外で企業決算が本格化するタイミングでもあります。そのため、企業業績や見通しに対する反応と、大型連休前の手控えや手仕舞いとの攻防になる可能性があり、展開が読みにくい相場地合いになりそうです。

 まずはいつもの通り、下の図1で足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年4月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均は週初の15日(月)に、「窓」空けの一段高でスタートしました。これにより、2万2,000円台の節目乗せと200日移動平均線の上抜けを達成しています。こうした株価水準切り上げの背景には、中国経済に対する楽観的な見方が強まったことと、米国企業決算を好感して前週末の米国株が上昇したことがあります。そして、このまま2万2,000円台乗せをキープして週末を迎えました。

 またもや窓空けによって株価水準が切り上がり、相変わらず外部要因に振り回されている格好ですが、ローソク足の並びをより細かく見ていくと、15日(月)の窓空け後、翌16日(火)と17日(水)に短い陽線が続いていて、「上放れ並び赤」と呼ばれる、上昇継続のサインとなっています。形としては悪くないと言えますが、週末にかけては上値の重たさも感じられます。そして、週間のローソク足の上値と下値同士を結んだ線を描いてみると、ひし形を描いているようにも見えます。こうした値動きの形状は、「ダイヤモンド・フォーメンション」と呼ばれ、株価が抜けた方向に動きやすいとされています。

 厳密には、ダイヤモンド・フォーメーションはもっと長い期間の株価の上げ下げを伴って形成される場合の事を指すため、今回はそのミニチュア版と言った方が良いのかもしれませんが、ここでポイントになるのはその特徴です。

 まず、ダイヤモンド・フォーメーションは相場の天井圏で出現することが多いとされているのですが、その一方で、トレンドの途中でも現れることもあり、見極めが微妙に難しいという特徴があります。

「何だ、先行きを予想する上であまり役に立たないじゃん」という声が聞こえてきそうですが、ダイヤモンド・フォーメーションは、大きくなりかけた株価の値動き(ボラティリティ)が、なんらかの理由により、一転して縮小傾向へと変わったことで形成されていきます。

 心理的には消化不良とモヤモヤ感が溜まりやすい状況と考えられるため、だからこそ、相場に方向性が出てくると、株価が大きく動く可能性があるというわけです。言葉の通り、相場におけるダイヤの原石なのかもしれませんが、今週の値動きは荒っぽくなりそうな雰囲気になっています。

エンベロープ、週足チャートで見る足元の状況は良好

 とはいえ、足元の日経平均の状況は全体的に良好と言えます。例えば、エンベロープに注目すると、前回も想定していた通り、25日移動平均線の+3%の線に沿っての展開となりました(下の図2)。

■(図2)日経平均のエンベロープ(25日移動平均線を基準)(2019年4月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 +3%に沿って動く展開は、2月から3月にかけて上昇していた局面を想起させるため、さらなる上昇への期待が高まってもおかしくはなさそうです。

 さらに、週足のチャートで見ても、52週移動平均線を上抜けたほか、13週と26週移動平均線とのゴールデンクロスも実現させており、週足でもチャートの形が改善しています(下の図3)。

■(図3)日経平均(週足)の動き(2019年4月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

TOPIXも上向き基調。平成最後の取引週はどうなる?

 このように、目立った警戒サインが見られない日経平均ですが、前回のレポートでも指摘した通り、「日経平均が先行して上昇している」面が強いため、出遅れているとされるTOPIX(東証株価指数)の動きについてもチェックしていきます。

■(図4)TOPIX(日足)とRSI(2019年4月19日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 TOPIXについては、18日(木)の下落によって週初の窓空けを埋めてしまっているほか、200日移動平均線との距離もまだあるため、こちらは日経平均ほどの力強さは感じられません。

 ただし、25日移動平均線がサポートになっていますし、株価の下値が切り上がる一方で、RSI(相対力指数)の下値が切り下がる「トレンドフォロー型」の逆行現象も見られるため、TOPIXの基調もまだ上を向いていると捉えて良さそうです。

 今週注目の企業業績に関しては、国内では中国関連銘柄とされる日本電産やファナック、コマツをはじめ、任天堂やソニー、東京エレクトロンなどが控えているほか、米国でもアマゾンやマイクロソフト、キャタピラーや3Mなどが予定されています。日米ともに相場のムードを左右しそうな企業の発表が相次ぎます。

 また、今週の警戒要因となっている大型連休についても、期間中に米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)や雇用統計が控えていることもあって、需給要因に振り回されやすい相場地合いでもあります。そのため、企業業績を手掛かりにして、需給要因による売りや新規の買いが入るかが焦点になり、投資スタンスは「超短期で臨み、もし下押しが大きくなったら拾う」の基本的な方向性となりそうです。

 普通の感覚では、「週内の上げ下げに固執することなく、足元のチャートの堅調さを崩さずに連休を迎えることができるかが大事」という見方が多くなりますが、連休明けの波乱に備えるという意味では、「足元のチャートの形が良過ぎるからこそ、今週のうちにある程度崩してしまうぐらいの方が良い」と考えることもでき、チャートの形が多少崩れた方が、結果的に好感されるという、いつもとはちょっと違う週になるのかもしれません。