買付ランキングから見る人気テーマ

2019年1月~3月末までの銘柄別買付ランキング

順位 ティッカー 銘柄名 関連するテーマ
1 AMZN アマゾン・ドット・コム eコマース、クラウド、AI
2 WDC ウエスタンデジタル スマートフォン、クラウド
3 MSFT マイクロソフト クラウド
4 NVDA エヌビディア eスポーツ、クラウド
5 AAPL アップル スマートフォン、エンターテインメント
6 SPXS Direxion デイリー S&P 500 ベア3倍 ETF 米国株式市場全体(レバレッジ)
7 TWTR ツイッター SNS
8 SPXL Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF 米国株式市場全体(レバレッジ)
9 VOO バンガード・S&P 500 ETF 米国株式市場全体
10 SQ スクエア フィンテック(電子決済・キャッシュレス)

注釈:楽天証券金額ベース

 話題のハイテク・IT関係の銘柄が7社ランクイン。「クラウド関連銘柄」に連なる銘柄が多いように感じます。

 アマゾン・ドット・コムやマイクロソフト、エヌビディアなどはクラウド関連として頻繁に名前が挙がる銘柄ですが、ウエスタンデジタルも主力製品のハードディスク(HDD)やNANDメモリがデータセンターで必須の製品です。つまり、ETF以外で買付ランキングに入った7銘柄のうち、過半数をクラウド関連銘柄が占め、クラウド関連銘柄の人気の継続が見受けられます。

ランキング上位の銘柄 直近の動向を解説

 買付ランキングの上位5銘柄の簡単に直近の動向を見てみます。

【1】アマゾン・ドット・コム

出所:トムソン・ロイター(現地4月2日まで過去1年間)

 アマゾン・ドット・コムは世界最大級のインターネット小売企業であると共に、クラウドサービス「アマゾンウェブサービス(AWS)」がインフラストラクチャの分野でトップのシェアを誇っています。昨年は株価が2,000ドルに到達し話題になりましたが、マーケット全体が下落し、株価は一時1,300ドル台まで下落する場面もありました。

 また、1月31日に発表された2018年10-12月期決算では1-3月期のガイダンスが市場予想を下回り株価が急落する場面もありましたが、その後は1,600ドル~1,700ドルの間で横ばいの動きを続け、3月に入り株価はレンジを上抜けてきました。

【2】ウエスタンデジタル 

出所:トムソン・ロイター(現地4月2日まで過去1年間)

 ウエスタンデジタルはHDDやNANDメモリの世界的なメーカーですが、昨年7月ごろから、それまで推移していた株価レンジを下抜け始め、株価は一時35ドル近辺まで下落しました。昨年3月頃には100ドルを超えていた株価が3分の1程度まで下落した値ごろ感などから、楽天証券で買いが膨らんだようです。

 1月24日に発表された2019年10-12月期決算では20.7%の減収となり、市場予想を上回る減収幅となりました。それを受けてスマートフォン関連の需要減速懸念が再燃したためか、株価はその後、上値の重い展開が続いています。

【3】マイクロソフト

出所:トムソン・ロイター(現地4月2日まで過去1年間)

 マイクロソフトは「Windows」シリーズなどのOSや、「Office」シリーズなどで有名ですが、ここ数年はクラウドに大きく舵を切っています。以前は「Windows」や「Office」などの新バージョンを販売することで利益を上げていましたが、現在はサブスクリプション(定期支払)型でサービスを提供し、毎月入ってくる定額支払いなどから安定的な収益を上げるようになりました。

 1月30日に発表された2018年10-12月期決算では、主力のクラウドコンピューティングサービス「アジュール」の売上高の伸びが76%増と前年同期の98%増からやや鈍化し、一部市場関係者の間で懸念が生じたものの、株価は堅調な動きが続き、3月には史上最高値を更新しました。

【4】エヌビディア

出所:トムソン・ロイター(現地4月2日まで過去1年間)

 エヌビディアはGPU(画像処理半導体)市場で最大手の企業で、2位のAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)を市場シェア(売上高ベース)で大きく引き離しています。同社のGPUはAI(人工知能)のディープラーニング(深層学習)や自動運転車のシステムなどに幅広く用いられ、データセンター関連の売上の伸びが注目されています。

 昨年秋頃に発表した新型GPU「GeForce RTX 20シリーズ」がやや期待外れの状況となっていることや、仮想通貨関連のマイニング需要が急減したことなどを受け、昨年300ドル近くまで上昇した株価は120ドル台まで下落。しかし、2月14日に発表された11月-1月期決算が、市場関係者の間で恐れられていたほど悪いものではなかったことなどから徐々に前向きな見方が広がり、株価は200ドル近辺まで回復しています。

【5】アップル

出所:トムソン・ロイター(現地4月2日まで過去1年間)

 アップルはご承知の通り、「iPhone」シリーズのスマートフォンの他、「iPad」「Mac」「iPod」「Apple Watch」「Apple TV」などを展開する企業です。最近ではiPhoneの販売台数がやや頭打ち状態になってきたことから、ビデオのストリーミングサービスを発表するなど、サービス分野での収益強化に取り組んでいます。

 1月29日に発表された2018年10-12月期決算では、「アップル・ミュージック」や「アプリストア」などのサービス事業に注目が集まる中、同事業の売上高が大幅に上昇したことが示されました。株価は良好な決算内容を受け急騰し、その後も3月末にかけて堅調な値動きが続きました。

今後の注目テーマ

 2019年1-3月期は引き続きハイテク関連銘柄が注目され、なかでもクラウド関連の銘柄が多くランクインしました。今後の動向については何とも言えないところがありますが、個人的には引き続きクラウド関連がメインテーマになるのではないかと感じています。AIや5G関連などにも注目していますが、5Gは本格的な普及にはもう少しかかるように思えますので、関連銘柄が盛り上がってくるにはしばらく時間がかかるのではないでしょうか。