先週の日経平均は荒い値動き、3週ぶり下落

 3月最終週だった先週の国内株市場ですが、週末(3月29日)の日経平均株価終値は2万1,205円となり、週足ベースで3週ぶりの下落に転じました。前週末終値(2万1,627円)からは422円ほどの下げ幅です。

 下の図1を見ても分かる通り、先週の日経平均の値動きはかなり荒っぽいものとなりましたが、その中でもポイントになるのは、週初の3月25日(月)の取引です。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年3月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 この日のローソク足を見ると、大きい「窓」空けを伴って取引がスタートし、さらに取引時間中も下げ幅を広げる展開となって、長めの陰線を形成しました。この線は、3本の移動平均線(5日・25日・75日)を下抜けただけでなく、節目の2万1,000円台も下回ってしまいました。

 このまま日経平均は下値を探る展開へと突き進むかと思いきや、翌26日(火)には急反発を見せています。2万1,000円台を早期に回復して長い陽線となり、相場に漂い始めた嫌なムードを後退させたわけですが、さすがに前日の窓空けと陰線の長さを合わせた下げ幅は大きく、25日移動平均線水準までが株価を戻すのが精一杯でした。そのため、以降の日経平均は25日移動平均線と75日移動平均線のあいだで揺れ動きつつ、週末を迎えることとなりました。

2万1,000円台を維持し、ダブルトップ形成を回避

 週間の取引を終えて、3本の移動平均線がすべて下向きとなってしまったものの、2万1,000円台を維持できたことは大きかったと言えます。というのも、この2万1,000円水準はここ半年間で相場のターニングポイントになっていることが多いほか、ちょうどこの水準が短期的な「ダブルトップ」形成のネックラインとほぼ一致していました。

 ココを下回ってしまうと、サポートとして意識されるテクニカル指標が少なく、大きく下値を探る展開もあり得たからです(下の図2)。むしろ、「崖っぷち」だったからこそ、意外と頑張れたのかもしれません。

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2019年3月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

NYダウ、上海も三角保ち合いの様相を強める

 実は、ダブルトップについては、米国(NYダウ)や中国(上海総合指数)でも意識されていました(下の図3と図4)。

■(図3)NYダウ(日足)の動き(2019年3月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

■(図4)上海総合指数(日足)の動き(2019年3月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウや上海総合指数についても、日経平均と同様に、ダブルトップ形成による下落の加速を回避できたわけですが、その一方で「三角保ち合い」の様相を強め始めています。保ち合いは次の展開に向けて市場のエネルギーを蓄積している時期として捉えられています。

 そもそも、先週の頭に見せた株価の大幅下落は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対する見方の変化がもたらした面が大きかったと言えます。これまでの「ハト派姿勢そのものを好感する動き」から、「ハト派を強めることになった前提(世界経済の減速懸念など)」の方に視点が移りつつあるというタイミングで、米国の長短金利が逆転するなどが重なってしまったことも、相場の振れ幅を大きくさせたと考えられます。

 FRBのハト派スタンスはこれまでの相場上昇の一翼を担っていただけに、FRBの金融政策に対して異なる視点が意識され始めるようになったということは、相場の捉え方の変化でもあり、次の局面に向けた予兆と見ることができます。

 4月相場入りとなる今週から新年度相場入りになりますが、国内では日銀短観や新元号の発表があったり、米国では週末の雇用統計、中国でも経済指標の発表が控えているほか、米中協議や英国のEU離脱をめぐる動向などの政治的要素も現在進行中だったりと、何かとにぎやかです。

 そのため、材料が多過ぎるということもあり、今週は保ち合い相場の範囲内で上げ下げを繰り返すという展開がメインシナリオとして想定されますが、保ち合いの範囲内での株価位置に注目すると、日経平均はまだ下限に近いですが、NYダウと上海総合指数については上限の方に近づいています。ですので、海外株市場の動き次第では思ったよりも早く相場が動き出す可能性もあるため、サブシナリオも用意しておいた方が良さそうです。