トルコリラのマーケットが今、非常に不安定な状態になっています
すでに流動性が極端に低下しているうえ、今週末には選挙という重要なイベントを控えているため、トルコリラ/円のポジションを保有している方は、十分な注意が必要です。
トルコリラに異変が起きたのは、先週金曜日(3月22日)。それまで20円前後で取引されていたトルコリラ/円が、突然18.73円暴落したのが始まりです。
選挙前で神経質になっていたトルコのエルドアン大統領は、これを欧米の銀行が仕掛けた投機的な動きだと激怒。トルコ中央銀行(CBRT)が、すぐさまトルコリラの調達(ファンディング)金利を引き上げるなどの通貨防衛策を打ち出したことで、翌日物スワップ金利が1,200%を突破する暴騰に。おかげでトルコリラ/円も一時21円近くに大幅反発するなど、下落は一時的に歯止めがかかりました。
しかし、マーケットが通常の状態に戻ったわけでは全くありません。トルコリラ/円が上昇したのは、調達金利の高騰に耐えられずトルコリラの売りポジションが切らされたため。いわば、中央銀行による売り規制がかかっているからです。マーケットでトルコリラのリプライスを提示するマーケット・メイカーが極端に少ない状況で、スプレッドが拡大したり、場合によっては取引を一時的に停止になるリスクを十分認識していただく必要があります。
今週末3月31日にトルコは統一地方選を行います
エルドアン大統領は、元来ポピュリストであり、高金利政策を嫌っているので、選挙後は、トルコ中央銀行に利下げを命じると考えられています。選挙で苦戦中と伝えられているだけに国民の歓心を買うような政策に動く可能性も大きいのです。
しかし、そもそもこれが先週金曜日にリラが売られた理由のひとつ。実際に利下げということになれば、リラ売りが加速することになるでしょう。
トルコ選挙後の最初のマーケットは、週明け4月1日の東京市場。ロンドン勢、NY勢も不在で流動性はほとんどないと予想されます。昨年8月6日のトルコリラショックは週明けに起きました。今年1月のフラッシュクラッシュも東京時間早朝に発生しています。厳重注意が必要です。
下値のメドは19.04円(28日安値)、18.73円(22日安値)、17.76円(年初来安値)上値のメドは20.71円(27日高値)、21.15円(年初来高値)
リスクが高まっているのはトルコリラだけではありません
英議会では本日(29日)夜、EU(欧州連合)離脱協定案について採決を行います。否決となればノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)の確率がいよいよ高まるわけですが、最後の最後で合意、大団円を迎えるいうシナリオもわずかながら残っています。月曜朝のポンドの動きにも要注意です。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。