今週の予想

今週は、下値確認の後の戻りは限定的となる可能性

 今週は、先週末の欧州株式の大幅下落に続き、米国の長短金利の逆転現象(イールドカーブ)を受けて世界経済への警戒感が広がりました。NYダウ平均株価は急落し、これを受けて、日経平均株価はまず下値確認の動きとなります。

 下値ポイントは、シカゴの日経先物がすでに先週末に2万1,000円を割っているため、3月11日の安値2万938円を試す動きとなります。ここからは目先の材料によって先物主導でどう動くか、下値を見極める必要があります。

 今週は中国・北京で開催される米中通商協議の期待もありますが、かなりの部分がすでに織り込まれており、また円高進行のため、下値を確認した後の戻りは弱いものになると思われます。

 今日26日(火)は3月末の配当、株式分割などの各種権利付き最終売買日となっており、27日以降は利益確定売りが出やすいという見通しになっています。

 25日(月)は、前場は▲359円で寄り付き、その後下げ幅を拡大し、円高進行に加え、終盤は時間外での米株価先物安や上海株式の下落も重しとなり、▲716円の2万911円と、3月11日の2万938円を下回りました。

 後場になると下げ渋りとなったものの戻りは弱く、大引けにかけて安値圏で推移し、▲650円の2万977円で引けました。

 2万1,000円を割り込み、トレンドも割り込んでいるため、早急に戻さなければ調整が長引く可能性があります。26日は3月期末の権利付最終売買日のため、配当取りの買いが続き、需給的には悪くなく、戻りを期待したいところです。

(今週の指標)日経平均株価

 先週末の22日(金)の日経平均は、2万1,713円と高寄りの後、上げ幅を縮小してマイナスに転じましたが、結局は+18円の2万1,627円と2万1,600円台を回復して引けました。その引け後の米国市場でNYダウは急落し、シカゴ日経先物は2万1,000円を割ってしました。そのため、今週はまず下値を確認したと戻りを試すことになります。しかし、為替が円高進行となっており、戻りには限界があります。戻りの程度は、今週、北京で米中通商協議が開催されるので、その動向次第となります。

 また、国内では3月末配当、株式分割などの最終売買日が26日のため、27日以降は利益確定売りが出やすくなります。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 世界的景気減速懸念がヨーロッパで広がる中、米国でも長短金利の逆転現象が起こり、景気減速懸念が再び意識されてきています。

 そのような中で今週から米中貿易交渉が再開。また、英国のEU(欧州連合)離脱問題も目が離せません。高値圏での大きなもみ合いが続きそうですが、基本は2万5,000~2万6,000ドルのボックス圏の動きが想定されます。2月8日の2万4,883ドルを終値で切ると調整が長引くことになります。

(今週の指標)ドル/円

 今週は、ドルの上値は重い展開が想定されます。欧州景気の悪化懸念でユーロが売られ、ドルが買われる場合もありますが、基本的にはFOMC(米連邦公開市場委員会)でハト派寄りの内容で、追加利上げがさらに後退し、長期金利が下がってドルが売られる展開が想定されます。

 FOMCの2019年金利見通しの引き下げや、一部で年内利下げ観測も浮上してきており、ドル売り・円買い圧力が継続することになります。一方で米国の主要経済指標が堅調であれば、リスク回避的なドル売り・円買いが広がる可能性は少ないと言えます。 

先週の結果

休日をはさんでもみ合いとなり、終値では想定レンジの上限で引け

 先週の予測では、米国のFOMCに注目とし、内容的にはハト派的な方向と予想されるため、日米金利差縮小から円高方向にあるものの、米中通商合意への期待が高まれば、一時的にドル買い・円売りとなるため為替には注意。株式市場を見る視点は、米国の金利動向から、世界経済の動向に移ってきており、方向性のない動きの中で、世界経済の先行き不透明感が強まる場合には2万1,200~2万1,700円のレンジの中で下方への動きとなる可能性があるとしました。

 週の終値では2万1,600円台でしたが、引け後の米国市場では日経先物は2万1,000円を切って引けています。

 結果的には、祝日の21日 (木)までの3日間は、FOMCを控え、2万1,500円をはさんだもみ合いとなり、終値では20日(水)は3月期末配当取りの買いが相場を支え、+42円の2万1,608円と反発しました。

 日本市場が祭日(21日)の米国市場は、FOMCの利上げ停止が示唆され、利上げ見通しがこれまでの年2回から1回へとなり、資産縮小も9月終了が示され、GDP(国内総生産)の成長率も引き下げられたことで、予想以上のハト派的結果となりました。 

 そのため、10年債利回りが年初来の低水準となったことで、ドルが110円半ばまで売られ、NYダウは▲141ドルの2万5,745ドルとなりました。

 祭日明けの22日(金)の日本市場は、前日の米国市場では、FOMCの期待以上のハト派的内容が評価され、緩和的金融政策の長期化の見通しを背景に米国債への資金流入の継続期待が強まり、金利低下による金融株は軟調だったものの、アップルなどIT株が軒並み買われ、3指標そろって大幅高となりました。これを受けて買い先行で始まり、+104円の2万1,713円と高寄りしましたが、ここをピークに下げに転じ、一時▲66円の2万1,542円に。その後は再度プラス圏入りとなり、+18円の2万1,627円で引けました。一見、強い動きに見えますが、先物主導による上下動であり、出来高が伴っていないので、上値を追うのは難しいといえます。

 日本市場が引け後の22日(金)の米国市場では、欧州で世界的景気減速懸念が強まり経済指標の悪化もあって欧州株式が大幅安となり、その流れを受けて米国株式も大幅安となりました。特に米国債の10年物と3カ月物の利回りスプレットが2007年以降のマイナスとなったことで、短金利の逆転現象が先行き景気後退を暗示するものとして投資家心理の悪化につながり、3指標そろって大幅安。NYダウは▲460ドルの2万5,502ドルとなりました。為替も1ドル=109円台後半まで下げ、シカゴの日経先物は▲355円の2万985円と2万1,000円を割り込んでいます。