今週の日本株市場は軟調スタートが濃厚

 先週末(3月22日)の日経平均終値は2万1,627円でした。前週末終値の2万1,450円からは177円高となり、週足ベースでも2週続けての上昇です。

 先週の国内株市場は祝日を挟んで4営業日でしたが、しかもその祝日が米FOMC(連邦公開市場委員会)の結果公表というタイミングと重なったこともあり、やや手掛けづらい面もあったものの、終わってみれば日経平均は堅調だったと言えます。

 ただし、週末の晩の米国株市場が大きく下落し、日経平均の先物取引もその流れを受ける格好で値を下げていて、大証で2万970円、CME(シカゴ先物取引所)で2万955円と、節目の2万1,000円台を下回っています。もっとも、現在の先物取引の価格は配当落ちの相当分ほど安くなっていることを考慮する必要がありますが、今週の日本株市場は軟調スタートが濃厚です。

 何はともあれ、まずは足元の状況から確認していきます。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2019年3月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

先週の日経平均の動きは「寄付天井(よりつきてんじょう)」

 先週の日経平均の動きを振り返ってみると、5日移動平均線をサポートにしてジリジリと上昇していました。また、株価水準としては直近高値(3月4日の2万1,860円)を射程圏内に捉える距離まできています。移動平均線と言えば、25日移動平均線も上向きが続いています。

 次にローソク足に注目すると、下ヒゲの長い線が目立っています。取引時間中は売りが優勢となる場面が多いものの、結局は買い戻されて取引を終えている様子が感じとれ、「何だかんだで下げない」印象につながっています。

 ただし、それは上昇の勢いのなさも意味しています。先週の高値は週末22日(金)につけた2万1,713円だったのですが、実はこの日の始値でもあり「寄付天井(よりつきてんじょう)」だったわけです。ここ最近のチャートを見ると、全体的な見た目は良くなっているのですが、所々に買いの勢い失速や強さに欠ける点などが散りばめられています。これまでにも何度か紹介している「窓」空けもそうです。

 これは週足チャートでも同様の様子がみられます。

■(図2)日経平均(週足)とRSI(2019年3月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

週足ではまだ下方向への意識が残っているため、相場の地合いが軟調となった際には注意

 週足ベースの日経平均は上値抵抗となっていた26週移動平均線を上抜けたほか、13週移動平均線も下向きから上向きに転じてきており、チャートの見た目がかなり改善されてきている印象です。次の目標は52週移動平均線を超えられるかといったところです。

 ただ、下段のRSI(相対力指数)と組み合わせてみると、RSIが株価と反対の動きとなる「逆行現象」となっています。逆行現象にはトレンド転換型とトレンド追随型の2種類あるのですが、図2で見られるのは、RSIが上値を切り上げている一方で株価が上値を切り下げているため、トレンド追随型と見ることができます。

 日足と違い、週足ではまだ下方向への意識が残っているため、下落トレンドが強まってしまう兆しが燻(くすぶ)っており、相場の地合いが軟調となった際には注意が必要になります。

 そこで、話を日足に戻して、下の図3で少し長めの期間も見ていきます。

■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年3月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

今週は来月の新年度相場に向けて慎重さが求められる週

 今週は3月の最終週です。2019年の日経平均は大発会を除いて、これまで順調と言って良いほど右肩上がりを描いてきました。つまり、ほぼ3カ月間、株価の戻り基調が続いていたわけです。

 上の図3を見ると、日経平均は10月2日の高値(2万4,448円)と12月26日の安値にかけての下げ幅の「半値戻し」を達成したところで、ややもたつき気味になっていますが、下落していた期間が3カ月弱でしたので、「同じ期間を費やして下げ幅の半分しか戻せなかったと考えれば、やっぱり戻りの勢いは弱いのかも」と見ることもできます。実際に、米NYダウは下げ幅の8割以上戻しています(下の図4)。

■(図4)NYダウ(日足)の動き(2019年3月22日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ポジティブに捉えれば、「日本株は米国株と比べて出遅れ感があるため、キャッチアップして行けば上値余地がある」となるわけですが、すでに高値圏にある米国株が失速してしまえば、こうした楽観シナリオは成り立ちにくくなります。

 先週末に見せた米国株の大幅下落は、PMI(購買担当者指数)の低下や長短金利の逆転などが、米国経済の減速を警戒させるものとして受け止められたという見方が多くなっています。

 今週も軟調な相場地合いが続いてしまうのかが焦点のひとつとなりますが、少なくとも、楽観モード一辺倒ではなくなり、米中協議や英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる動き、国内外の経済指標の結果などの動向に過敏になると思われます。

 最近の気候は、日中は汗ばむような暑さでも夜になると急に冷え込んだりして体調を崩しがちで、ゆえに春の風邪は意外と長引きやすいとも言われています。今週は来月の新年度相場に向けて慎重さが求められる週なのかもしれません。