まるでYouTubeで動画を見るように、簡単にゲームをプレイすることができる?
米アルファベット子会社のGoogleは3月19日、ゲーム開発者向けイベント「GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)」にて、ゲームのストリーミングサービス「Stadia」を発表しました。
このサービスを簡単に言うと「クラウド型のゲームサービス」。専用のゲーム機やPCなどを必要とせず、インターネットに繋がっている画面さえあれば、普段YouTubeで動画をみるような気軽さで、自宅のTVやスマートフォンで簡単にゲームがプレイできるのです。
Googleは発表の中で、YouTubeを視聴中に[このゲームをプレイ]のアイコンをクリックするだけで、5秒程度でゲームが起動するデモを実演しました。
世界的にeスポーツなどで採用されるような有名ゲームの多くは3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)を多用し、高性能のゲーム機やPCを購入しないと満足にプレイすることができず、プレイする場所も自宅などに限定されていました。しかしながら、このサービスを利用すればそうした高額製品を買うことなく、最新のゲームを最高の性能でプレイすることができるようになるかもしれません。
クラウドのサーバーにはAMDのチップが使用される模様
「Stadia」の発表会ではAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)のリサ・スーCEOが前列中央に座っていたそうですが、今回Googleが発表したサービスを支える同社のクラウドのデータセンターでは、AMDと共同設計した専用GPU(画像処理用半導体)が用いられるとのことです。
CPUについてはインテルのものが用いられるかもしれませんが、使用するGPUについて、3DCGを用いたPC向けゲーム業界で圧倒的なシェアを持つエヌビディアでなく、AMDがパートナーとして選ばれたことには正直驚いています。19日の現地市場ではこうしたニュースの発表を受け、AMDの株価は前日比+11.82 %と、大幅高になりました。
ゲーム業界の勢力図が一変する可能性も?料金体系は未定
今回の新しいゲーム・ストリーミング・サービスについては年内に米国や欧州などからサービスが提供される予定とのことです。現時点では日本でのサービス開始は未定で、料金体系についても明らかになっておりません。果たしてYouTubeなどのサービスのように広告を表示させて無料とするのか、それともサブスクリプション型の月額課金制などとなるのか、気になるところです。
しかし、それ以上に気になる点としては、今後のゲーム業界がどうなっていくのかというところ。個人的には家庭用ゲーム機を販売して、それぞれのプラットフォーム上でゲームを販売するというビジネスモデルが今後も存続できるかどうかというくらい大きなイベントであると考え、ターニングポイントを迎えたのではないかと感じました。
また、Googleはすでに、数多くのゲーム会社にゲームの開発キットを送付しているという情報もあります。
米アクティビジョン・ブリザードなど、既存の大手ゲーム制作会社らがどう対応してくるかなどについても、注目です。既存のプラットフォームとのすみ分けはどうなるのか、今まではエヌビディアやAMD製の高性能ビデオカードを搭載したハイエンドのPCを保有していないと満足にプレイすることができなかった最新ゲームが、スマートフォンや普通のテレビでも遊べるようになれば、ユーザー数が爆発的に増えることも考えられます。
まだ情報開示されたばかりで、サービスが開始されてみないと分からないことも多いですが、今回のGoogleの一手は、ゲーム業界に大きな影響があるのではないかと個人的に感じています。
紹介した銘柄
ティッカー | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
GOOGL | アルファベット クラスA | 「AIファースト」を掲げ、世界最大の検索サイト「グーグル」の運営から、スマートフォン向けOS「アンドロイド」、自動運転車事業など、幅広く事業を展開。クラウドサービスも業界最大手の一角 |
AMD | アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD) | インテル(INTC)と同様にCPUを手掛ける他、エヌビディア(NVDA)と同様にGPUも手がける。「Ryzen」シリーズのCPUは業界で圧倒的な地位にあったインテルに対する有力な対抗馬となっている |
INTC | インテル | CPU市場で圧倒的なシェアを誇る、世界最大級の半導体メーカー。CPUの他にGPUも手がける他、AIの処理に特化したプロセッサーも展開。傘下に先進運転支援システムを手がけるモービルアイ社もある |
NVDA | エヌビディア | GPU(画像処理半導体)市場で最大手。2位のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)を大きく引き離す。同社のGPUはAIのディープラーニング(深層学習)や自動運転車のシステムなどに幅広く用いられる |
ATVI | アクティビジョン・ブリザード | 6人ずつのチームで対戦する「オーバーウォッチ」は、2018年5月時点で約4,000万人のプレイヤーがいる模様。第二次世界大戦などを舞台としたFPS「コール オブ デューティ(CoD)」シリーズも人気 |
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