今週の予想

米国FOMCに注目。戻りのあとは再び調整ムードへ

 今週の日経平均株価は、戻りを試した後は手掛かり材料がない中、米国の金融政策や英国のEU(欧州連合)離脱(合意なき離脱)をめぐっての警戒感もあり、調整ムードが先行することになりそうです。

 米国では3月19~20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、終了後にFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の会見で、経済見通しが発表される予定です。ここで金利引き上げの停止が強調されれば、株式市場にはプラスになります。

 一方、米中通商合意への期待も継続していますが、日本市場にとっては為替が円高基調となる方向にあるため、要注意です。

 先週15日(金)、日銀が開催した金融政策決定会合では、輸出、海外経済、鉱工業生産についての判断が下方修正され、株式市場の視点は米国金利の動向から、世界経済の動向に移ってきています。

 そして今週の日本市場は、上海株式の展開に反応を強めていますが、米中首脳会談が4月以降に延期される見込みとなったことで動きにくい相場となりそうです。また、21日の祝日(春分の日)をはさんで飛び石連休となっていますので、相場的には動きにくいでしょう。

 日経平均は先週の動きからの継続で見ると、世界経済の先行き不透明感が強まる場面があれば、2万1,200~2万1,700円のレンジの中での下方の方での動きとなる可能性があります。

 18日(月)、日経平均は先週末の米国株高を受け、買い先行で一時+161円の2万1,612円まで上昇。その後、+49円の2万1,500円まで押す場面がありましたが、後場には総じて高値圏のもみ合いとなり、+133円の2万1,584円と、4日ぶりに2万1,500円台を回復して引けました。

(今週の指標)日経平均株価

 今週、米国株が戻りを試せば、日経平均はある程度、連動することになりますが、ここからは機関投資家の年度末の益出しが増えてくるため、現在の商いの薄い中では、上値を追うのは難しくなります。

 また、21日(木)は休日で飛び石連休という形で様子見となり、北朝鮮と米国の非核化協議の停止検討が伝わり、現物にはマイナス要因となります。チャートからは下値模索となった場合、3月11日の2万938円を終値で切ると売り転換となって、さらに下値を探る展開となります。

(今週の指標)NYダウ平均株価

 19~20日にFOMCが開催され、ここではハト派寄りの発言、さらに会合終了後のパウエルFRB議長の会見も予定されており、追加利上げへの期待が一段と後退することになりそうです。株価にとってはサポート材料ですが、経済指標は強弱入り交じっており、高値圏でのもみ合いとなりそうです、2018年11月8日の2万6,277ドルを終値で上回れば、もう一段上も期待できますが、チャート上は上値の重いところへきています。

 

(今週の指標)ドル/円

 今週もドルの上値は重い展開が想定されます。欧州の主要経済指標は景気回復の遅れを示唆しており、対欧州通貨でドルが選好される可能性があり、ドル/円も影響を受けることになりそうです。

 一方で19~20日のFOMCでは、ハト派守りの発言内容となって追加利上げ期待はさらに低下し、ドル売りが強まることになります。今週も強弱の材料が混ざっており、110~112.5円のレンジを想定します。

先週の結果

週前半、急伸後は一進一退の動きだが上昇トレンドはキープ

 先週の予測では、欧米の経済指標をにらみながら落ち着きどころを探る展開としながらも、米市場で株価が戻りを試せば連動する動きとになるとしました。

 結果的には、週前半は米国市場では、経済指標はおおむね堅調で、株価も戻りを試す動きとなり、日経平均も連動して12日(火)には2万1,568円まで上昇し、翌日はNYダウ平均株価安を受けて2万1,198円まで下げました。

 週後半はナスダック、S&Pが高値更新。しかし、その後は上値重く日経平均も週末は2万1,500円を一時回復したものの、2万1,450円で引けました。日経平均は商いがふくらまないために、先物主導による上下動に振り回されています。

11日(月):朝方は自律反発で始まるものの、時間外での米株価先物が下げたことで、一時▲87円の2万938円まで軟化。その後は上海株式の上昇が支えとなり、一時+120円の2万1,145円まで上昇し、終値は+99円の2万1,125円と5日ぶりに反発しました。

12日(火):前日の週明けの米国市場でNYダウが+200ドルの2万5,650ドルをはじめ主要3指標大幅上昇となったことで、日経平均は+236円の2万1,361円と全面高となり、後場も上げ幅を拡大。一時+443円の2万1,568円まで上昇して、終値は+378円の2万1,503円と大幅続伸。海外の短期筋による株価指数先物への買い戻しが観測されました。

 しかし、この日の上昇で25日移動平均線(2万1,261円水準)を上回り、3月SQ値である2万1,348円を上回ってきて、崩れかけたチャートが回復しました。ただし、上述したように買い戻し主体で、このまま上昇が続くには売買代金、出来高が増加するための新規の材料が欲しいところです。

13日(水):前日のNYダウが▲96ドルの2万5,554ドルと反落したことで、前日の大幅上昇の反動が出て利益確定売りが先行しました。

 英国のEU離脱問題で修正案が下院で否決されたことや、1月の機械受注が下ブレたこともあり、先物主導で下げ幅を拡大。一時▲304円の2万1,198円まで下げました。終値ではやや下げ幅を縮小し、▲213円の2万1,290円と3日ぶりに大幅反落となりました。

14日(木):前日の米国市場で3指標そろって大幅高となり、特にS&Pとナスダックが年初来高値を更新したことで、前場は+184円の21,474円で寄り付き、一時+232円の2万1,522円をつけました。しかし、後場になると時間外取引で米株価先物が軟調に推移し、上海株式も続落となったことで、先物に断続的な売りが出て上げ幅を縮小し、引けにかけては手仕舞い売りも加わって▲3円の2万1,287円と小幅に続落となりました。

15日(金):円安基調と上海株式の上昇を受けて、堅調に推移し、一時+234円の2万1,521円まで上昇。しかし、買い一巡後は上値重く上げ幅をやや縮小して+163円の2万1,450円で引けました。米国市場は、2月の製造業生産や鉱工業生産は予想を下回りましたが、半導体を中心にハイテク株が続伸し、相場をけん引、さらに追加利上げの見送りが強まり、米中通商合意への期待が継続し、3指標そろって続伸(NYダウは+138ドルの2万5,848ドル)となりました。シカゴの日経先物は+90円の2万1,330円でした。