4月10日
3月の乗用車販売が予想下振れ、販売伸び悩みで一段の在庫圧力増大

中国の3月の乗用車販売台数はBOCIの予想(前年同期比6-7%増)を下回り、推定1桁台前半の伸びにとどまった。◇中韓関係の悪化を受け、韓国系車種の販売台数が前年同月比50%余り急減した、◇小型車減税を受けた2016年10-12月期の駆け込み購入の反動で、旧正月以降、低・中価格帯を中心にエンドユーザー需要が後退していることなどが背景。BOCIはこの先、在庫圧力が一段と高まると予測し、セクター全体に対する従来の強気見通しを中立的に引き下げた。15年10-12月期から16年7-9月期にピークを迎えた新車市場の好況サイクルが、段階的に終わりを迎えつつある可能性を指摘。16年からこれまでアウトパフォームを続けてきた香港上場の自動車銘柄の株価はすでに適正水準とし、一段の株価上昇には明確な支援材料が必要になるとした。

BOCIによると、中国国内ではディーラーレベルの新車在庫が増大しており、同在庫係数は2月末に2.25カ月(警戒レベルは1.5カ月)まで上向いた。中外合弁ブランド、国内自主ブランドの両部門でそれぞれ2.0カ月超と、15年以来最も高い水準を記録したという。続く3月も在庫の高止まりが続いたとみられ、BOCIは新車市場の閑散期入りに伴い、在庫処理圧力がさらに高まると予想している。

一方、四半期別の乗用車販売台数については、4-6月に前年同期比4-6%増を予測しており、これは1-3月期の約5%増とほぼ同じペース。しかし、続く7-9月期は前年実績が高く、ゼロ成長あるいは減少に転じる可能性が高いとしている(16年7-9月期の乗用車販売は前年同期比27.3%増)。

17年通年の乗用車販売に関するBOCIの予想は前年比6.1%増だが、4-5月もエンドユーザー需要が回復しなければ、下振れリスクが高まる見込み。ただ、需要の萎縮が長引けば、政府当局がてこ入れに動く公算が高まる。具体的には、低燃費車(主にセダン)や農村部などを対象に、3000元程度の補助金支給制度を導入する可能性があるという。

BOCIはレーティング見直しにつながる可能性のあるセクター全体の潜在リスク要因として、予想以上の販売低迷を受けた価格競争の激化や原材料高騰によるコスト圧力の高まりを指摘した。逆にプラスの可能性としては、当局による刺激策の導入を挙げている。

香港上場の自動車銘柄は現在、17年予想PER平均10.4倍の水準で取引されており、BOCIはこの水準を適正と受け止めている。個別では、最近の株価調整を理由に、吉利汽車(00175)への投資が選択肢の一つになり得るとの見方。長期投資家に対しては、高級車市場に対する楽観見通しを受け、ブリリアンス・チャイナ(01114)が投資対象の一つになるとした。この2銘柄に加え、広州汽車集団(02238)、東風汽車集団(00489)の株価の先行きに対して強気見通しを明らかにしている。一方、部品銘柄ではネクスティア(01316)を有望視。低バリューションと手堅いファンダメンタルズが理由。