今日のまとめ

  • ホームデポの決算は住宅需要の堅調を反映し、良かった

  • メーシーズは海外からの観光客の落ち込みが売上に響いた

  • ターゲットはネット販売に対応するため店舗を改装中

  • TJXは他小売業者が在庫処分するほど良い商品を仕入れやすくなる

  • ウォルマートの業績は安定的に推移している

ホームデポ

 米国の住宅市場は2008年のリーマンショックの際に大きく下落しましたが、その後、ゆっくり回復中です。 ホームデポ(ティッカーシンボル:HD)は日曜大工やプロの工務店のひとたちに対し、建材、工具、塗料、キッチン・バス什器などを販売するホームストアです。

 折からの低金利、低失業率なども手伝って、住宅への需要は堅調です。

 同社の第2四半期決算はEPS(1株あたりの利益)が予想$2.22に対し$2.25、売上高が予想278.4億ドルに対し281.1億ドル、売上高成長率は前年比+6.2%でした。

 既存店売上比較は+6.3%でした。内訳は来店客数が+2.6%、単価が+3.6%でした。米国既存店売上比較は+6.6%でした。

 既存店売上比較の月次トレンドは、5月+5.8%、6月+5.9%、7月+7.2%と、尻上がりに良くなっています。

 夏の住宅建設シーズンを含むため、第2四半期は同社において最も売上高が多い四半期です。その意味では、今回、良い決算だったことは心強いです。

 グロスマージンは前年比-6ベーシスポイントの33.7%、営業マージンは前年比+38ベーシスポイントの15.9%でした。

 一方、売上高に占める冷蔵庫、洗濯機などの高額商品比率は22%でした。

 会社側は「住宅着工データから判断し、好環境が今後も続く」と考えています。修繕、リフォーム需要も強いです。普通、マイホームのオーナーは持家を売りに出す前に水回りや悪い箇所を修繕、リフォームします。

 加えて、長い不景気でずっとマイホーム購入を先延ばしにしてきたミレニアル層が、ようやくマイホーム取得に動き始めています。

 地域別では、広範囲の地域で成長が見られ、特に問題となる地域はありませんでした。

 品目別では、材木、配線、電動工具、床材が最も好調でした。また切断機、素材、家電、室内装飾も平均以上の伸びを示しました。その反面、配管、キッチン、浴室、トイレ、園芸、塗料はかろうじて前年比プラスだったものの、低成長に甘んじました。

 2018年度EPSは予想$7.15に対し、新ガイダンス$7.29が提示されました。売上高は予想993.5億ドルに対し、新ガイダンス996.1億ドルが提示されています。既存店売上比較ガイダンスは+5.5%です。

 

メーシーズ

 同社の第2四半期決算はEPSが予想47¢に対し48¢、売上高が予想55.2億ドルに対し55.5億ドル、売上高成長率は前年比-5.4%でした。 メーシーズ(ティッカーシンボル:M)は全米に約820店舗を展開する老舗百貨店です。ブルーミングデールズも傘下に所有しています。

 既存店売上比較は予想-3.3%に対し-2.8%でした。
 これは第1四半期の-5.2%より改善しました。

 在庫は-6.4%でした。現在の在庫水準に関しては「適切だ」というコメントがありました。

 第3四半期に入ってからの既存店売上トレンドは、これまでと同じです。バック・ツー・スクールのセール期間の滑り出しは好調です。

 婦人靴、ジュエリーなどが健闘、既存のメーシーズの売り場の一部に、オフプライスのラック・スペースを設ける「バックステージ」の試験も一定の成功を収めました。同社は引き続き色々な売り方をテストし、年末までにそれらを正式導入するかどうか決めます。

 値引きに関しては、在庫の圧縮を続ける必要あるため、当面継続する方針です。

 今期、とりわけ残念だった点としては、海外からの観光客の売上高が-9%と大苦戦したことです。これは会社側予想よりかなり悪かったですし、第1四半期よりも悪かったです。

 秋にかけて新しいロイヤリティー・プログラムを開始する予定です。オンラインと実店舗の連携を強化するようなテクノロジーへの投資も継続します。

 2018年度のEPSは予想$3.12に対し、新ガイダンス$2.90~$3.15が提示されました。売上高は予想246.9億ドルに対し、新ガイダンス247~250億ドルが提示されています。また既存店売上比較ガイダンスは-2.2%から-3.3%が提示されました。

 

ターゲット

 同社の第2四半期(7月期)決算はEPSが予想$1.19に対し$1.23、売上高が予想163億ドルに対し164.3億ドル、売上高成長率は前年比+1.6%でした。 ターゲット(ティッカーシンボル:TGT)は、流行に敏感で、オシャレでかわいい商品を中心に品揃えすることで他社と差別化を図っているディスカウント・ストアです。また専門店との比較に置いては、バリューと利便性で勝負しています。

既存店売上比較は+1.3%でした。来店客数は+2.1%でした。来店客の回復は同社の計画を上回りました。来店客の増加は全米の店舗で見られました。

 商品別では、幅広い商品分野で売上増が記録されました。

 今後の方針として、同社は特売セールへの依存を減らし、エブリデー・ロー・プライス戦略に順次移行する予定です。

 ターゲットは引き続きオリジナル・ブランドに注力してゆきます。現在、12の新しいブランドを計画中です。

 今年2月に3年計画を発表、その中で250店舗を改装することを発表しました。その際、実店舗をネット販売の配送元として有効活用できるよう計画しています。これに絡んで、ターゲットはグランド・ジャンクションを買収しました。グランド・ジャンクションはラストマイル・デリバリーのテクノロジーならびに配送会社のネットワークを持っています。

 今後はネットで注文した品物を実店舗で受け取る、インストア・ピックアップ、実店舗までクルマでやってきた顧客が、クルマを離れずに商品を受け取るドライブアップ・ピックアップも増やして行く考えです。

 クリスマス商戦期間中は来店客も忙しいので、このようなインストア・ピックアップ、ドライブアップ・ピックアップが重要度を増すと予想されます。

 第2四半期のターゲットのデジタル売上は前年比+32%でした。

 第3四半期はEPS予想79¢に対し、新ガイダンス75~95¢が提示されました。2018年通年のEPSは予想$4.39に対し、新ガイダンス$4.34~$4.54が提示されました。

 

TJX

 同社の第2四半期決算はEPSが予想84¢に対し85¢、売上高が予想82.9億ドルに対し83.6億ドル、売上高成長率は前年比+6.0%でした。 TJX(ティッカーシンボル:TJX)は在庫処分品を格安で仕入れ、ラックに吊るして販売するオフプライス・ストアです。

 既存店売上比較は+3%でした。これはガイダンスの1~2%より良かったです。

 来店客数は増加の傾向にあります。またマーチャンダイジング・マージンは改善しています。これらのことは、TJXのビジネスが好調であることの証しです。

 同社は他社からマーケットシェアを奪っています。

 下半期の見通しに関しては楽観的です。

 いまアメリカの小売業者はどこもアマゾンの攻勢で大きな経営の見直しを迫られています。その関係で店舗や在庫整理をおこなっているところが多いです。

 TJXにとって、それらの在庫処分品を安く仕入れるには絶好の「買い手市場」となっています。

 また、そうやって仕入れた商品はすぐ売れて行き、商品の回転が効いています。

 第3四半期のEPSは予想$1.00に対し、新ガイダンス98¢~$1.00が提示されました。既存店売上高比較については+1~2%のガイダンスが示されました。

 2018年のEPSは予想$3.89に対し、新ガイダンス$3.89~$3.93が提示されました。また既存店売上比較ガイダンスは不変の+1~2%となっています。

ウォルマート

 同社の第2四半期決算はEPSが予想$1.07に対し$1.08、売上高が予想1,219億ドルに対し1,220億ドル、売上高成長率は前年比+2.1%でした。 ウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)は世界最大のディスカウント・ストアです。

 米国既存店売上比較は+1.8%でした。事前ガイダンスは+1.5%から+2.0%でした。来店客数は+1.3%でした。部門別では食品部門が好調でした。

 グロスマージンは-11ベーシスポイントの25.0%でした。在庫は-3.8%でした。

 サムズ・クラブ既存店売上比較は+1.2%でした。(ガイダンスは+1.0%から+1.5%でした)

 ネット通販は+67%でした。

 第3四半期はEPS予想97¢に対し、新ガイダンス90~98¢が提示されました。米国既存店売上比較ガイダンスは+1.5%から+2.0%です。

 2018年度のEPSは予想$4.36に対し、新ガイダンス$4.30から$4.40が提示されました。これは旧ガイダンス$4.20から$4.40の下限が引き上げられたことになります。

 海外ではメキシコのウォルメックスが好調でした。ウォルメックスの既存店売上比較は+7.2%でした。中国の既存店売上比較は+0.6%でした。