「粤港澳大湾区」の総合通信サービス会社、ローミング料値下げの影響は限定的か

現地コード 銘柄名
01883

中信国際電訊集団

(シティック・テレコム・インターナショナル・ホールディングス)

株価 情報種類

 2.89HKD
(2/19現在)

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 マカオ・テレコム(CTM)を子会社とし、本土・香港でデータセンターを展開する中信国際電訊は、中国の「粤港澳大湾区」(グレーターベイエリア)計画を追い風とする総合通信サービスプロバイダー。大湾区エリア内のローミング料金が引き下げられる可能性はあるものの、BOCIは国際通信サービスや企業ソリューションなどの業務量の伸びが、これをカバーするとの見方。19-20年の利益見通しを5-6%減額修正しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

「粤港澳大湾区」とは、広東省・香港・マカオの経済一体化を目指す国家戦略。中国政府は2月18日に計画綱要を発表したが、この中でエリア内のローミングサービス料金の引き下げを目指す方針が示された。BOCIによれば、この方針によりマイナス影響を受けるのは主に香港とマカオの通信キャリア。もともと大湾区に絡むローミングサービス収入の比重が小さい本土のキャリアにとって、影響は限定的という。

 マカオ・テレコムを傘下に置く中信国際電訊の場合、マカオのローミングサービス業務から得られる収入がモバイルサービス収入全体に占める割合は最大20%。このため、仮にローミング料金が50%値下げされれば、モバイルサービス収入の縮小幅は約10%となる。ただ、BOCIの試算では、最悪のシナリオの下でも、19年通期のサービス収入の目減り分は1億1,400万HKドル。この数字はグループ全体のサービス収入の約1.5%にとどまる。また、ローミング料金が引き下げられれば、より多くの顧客が端末をオンのままにしておく可能性が高まり、ローミングトラフィックは増える可能性がある。さらに、国際通信サービス、企業ソリューションといったその他事業の拡大が寄与し、実際の収入へのマイナス影響は試算値より軽微となる可能性が高い。

 一方、同社はIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)インフラおよび技術面で、有力ネット企業テンセント(00700)と提携した。これにより、大湾区のフルサービス型情報通信プロバイダーとしての潜在力に焦点が当たることになる。

 同社は近く18年12月通期決算を発表する予定だが、うち下期の純利益について、BOCIは前年同期比7.4%増の4億5,800万HKドルを予想。サービス収入は同8.5%増の33億6,100万HKドルに上るとみている。また、通期の配当性向は65%を維持するとみて、期末配当を1株当たり0.134HKドルと予測している。

 BOCIはローミング料金値下げというマイナス要因と国際通信サービスなどの成長見通しといったプラス要因を反映させ、19年、20年の予想純利益を5%、6%下方修正。それぞれ9億8,400万HKドル、10億3,000万HKドルに設定した。レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、通信会社に対する料金面の規制強化が利益に影響する可能性を挙げている。