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 米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長は、ベトナムのハノイで2月27日から2回目の『米朝首脳会談』を行います。米朝両国は首脳会談に向けて、事前にハノイで実務協議を行い、中味を詰めてきました。こうした中、米国側は、北朝鮮に対し、非核化の進展がみられれば、何らかの「見返り」を与える可能性を示唆しました。『米朝首脳会談』で両国が隔たりを埋められるかが注目されます。

 

【ポイント1】米国は完全非核化を要求も譲歩の可能性

 トランプ大統領は24日、「核実験がない限り、我々は満足だ」と、北朝鮮の非核化を急がない姿勢を示しました。また、「金委員長との関係はとても良い」と述べ、2回目の『米朝首脳会談』についてアピールしました。同日、ポンペオ米国務長官は、非核化が制裁緩和の条件としながら、「我々が出来ることは他にもある」と述べ、何らかの「見返り」提供に柔軟な姿勢を示しました。

 次期大統領選挙での再選を視野に入れるトランプ大統領は、対北朝鮮外交で得点を挙げて支持を回復させることを狙っています。『米朝首脳会談』を成功させるため、米国は、これまで完全な非核化の実現まで北朝鮮に与えないとしていた「見返り」を、非核化の進展に応じて、与える方針に修正した可能性があります。

 

【ポイント2】北朝鮮は米国に制裁緩和や体制保証を求める

 一方、北朝鮮は、昨年5月に核実験場を爆破してみせるなど、非核化に向けた措置を既にとったとして、米国に対し、制裁緩和やみずからの体制保証につながる、朝鮮戦争の平和協定締結に向けた協議を求めています。

 これに対して、米国は完全な非核化の実現に向けて核関連施設の査察の受け入れなど、より具体的な措置を求めていて、両国の立場は隔たったままでした。

 

【今後の展開】米国がどこまで厳しい姿勢で臨むのかが注目される

 北朝鮮にとって、完全な非核化を行うことは、他国から経済支援を引き出し、現体制を維持するために必要な「切り札」を失うリスクがあります。そのため、これまでの非核化交渉でも米国が求める核関連施設のリストの提出を拒否してきました。2回目の『米朝首脳会談』は、非核化の具体的な措置とその「見返り」を巡る駆け引きになるとみられます。

 一方、今回の『米朝首脳会談』では、トランプ大統領が成果を急ぐあまり、完全な非核化を求めず、安易に妥協してしまう恐れが出てきたことが懸念されます。北朝鮮の部分的な非核化では核物質や核関連施設が温存されてしまう恐れが残るため、米国がどこまで厳しい姿勢で臨むのかが注目されます。