ゴールド 1,300ヒットの次は、バノン辞任

2017年8月21日(月)掲載分より

 ゴールドがとうとう1,300ドルにタッチしました。今週は7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録の発表により、近いうちに金利を上げることに関しての理事の意見は分かれており、その多くは最近の経済指標によりインフレ目標に達していないことで、金利を上げることに急ぐ状況にないとみているということがはっきりしました。それによりドルが売られ、週前半に売られたゴールドも、再び1,280ドル台へ上昇。そして金曜日には欧米でとうとう1,300ドルを一瞬超える場面がありました。

 しかし、その直後にバノン米首席戦略官の辞任が発表され、それにより一挙にドル買いそしてゴールドは売られて1,280ドル台に戻して1週間が終わりました。

 金曜日はまさにローラーコースターのような動きでしたが、やはり基本はトランプ大統領の米大統領としての資質(他民族国家の米国ではタブーとも言える人種差別に対する姿勢)に対する疑問から四面楚歌状況にあり、まともな政治を期待できないという不安の増大。これがやはりドル安・ゴールド高の根底にあります。

 バノン戦略官の辞任が、今後のトランプ政権の政策実行能力にどう変化を与えるのか、今とりあえずの動きはマーケットの期待感を表しています。今週以降に辞任の影響がどう出てくるのか大きな焦点になりそうです。

 北朝鮮の不安は変わらず。ゴールドはやはり上昇の可能性が大。そして、議会の夏休みが終われば、9月上旬には政府債務の上限引き上げが差し迫ってきており、投資家の危機感にも拍車がかかりそうです。

CFTC Commitment of Traders Report as of  15 Aug 2017
2017年8月21日(月)掲載分より

出所:池水氏のレポートより抜粋
右軸:投資家ポジション(トン)
左軸:ドル建てゴールド価格

投資家ロングポジションは500トンから623トンへ。大きく増加。

パラジウム930ドル手前

2017年8月18日(金)掲載分より

 ゴールド相変わらずしっかりです。昨日は久しぶりに価格が上がったために、日本でも久しぶりに取引が盛り上がりました。ゴールドは6月初旬以来の4,550円超えで売りを待っていた人がたくさんいたのでしょう。多くの売りが出ました。プラチナも、おそらく3月以来に3,480円まで上がり、こちらも戻り売りがたくさん出ました。現物の取引が一日にこれだけあったのは結構久しぶりです。今週頭にほとんど電話さえ鳴らなかったことを考えると嘘のようです(笑)。

 東京市場のあとは、スペイン・バルセロナでのテロ、NYダウの急落など、ゴールドをサポートする材料も多かったようです。パラジウムは930ドル手前まで上昇、そのまま高止まりしています。このレベルは、なんと2001年のパラジウム危機以来のレベル。前回ここまできたのが、今年の6月。そのときはここで止まりました。さて今回はどうなるでしょう。プラチナとの値差もまた急速に縮小し、1.05となっています。

 そのほか大勢に変化はなし。ゴールドは1,300ドルをいつ超えるかが、とりあえずの注目点でしょうか。

FOMC議事録でメタル全部上昇

2017年8月17日(木)掲載分より

 やっぱり上がりました。下がるのを待って買ったbargain hunter(特売品をあさる人)もやはりいたようです。東京時間の今朝3時に7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録の発表がありました。ここでは、近いうちに金利を上げることに関しての理事の意見は分かれており、その多くは、最近の経済指標からインフレ目標に達していないことが明らかになったことで、金利を上げることに急ぐ状況にないと見ているようです。この内容を受け、ゴールドは急騰、ドルは急落となりました。 円建てゴールドも4,550円手前まで上昇しています。

 昨日はゴールドのみならず、ほかのメタルも等しく、パラジウムは特に大きく上昇しました。今年に入ってからは6月初旬の928ドルに次ぐ高値の917ドルと昨日からは26ドル、円建てで80円近く急騰しました(朝の薄い時間にさらに上がっています)。ま、いつも書いていますが、パラジウムは上がりますね。850ドル近辺は買い、今回も正解でした。下がったらロングの利食いにより一時的な下げと見るべきでしょう。ファンダメンタルズから本格的下げ相場になることはまず考えられない、そんな状況がもうずっと続いています。

さらなるドル買い・ゴールド売り

2017年8月16日(水)掲載分より

 ゴールドは週初から2日連続の下落となりました。
 「北朝鮮問題解決してへんで!」と、こんだけ言うとるのに…。でもまさにこの絡みですね、緊張緩和と感じとれるニュースが出ています。まずは中国が国連の北朝鮮制裁決議を実際に履行したこと。中国商務省は月曜日に北朝鮮からのすべて(主に石炭、鉄鉱石、鉛、海産物など)の輸入を禁止すると発表しました。そして、北朝鮮の朝鮮中央通信は「米国の行動をもう少し見守る」という金正恩(キム・ジョンウン)の発言を伝えました。これを緊張緩和と読み、マーケットはドル買い戻しゴールド売り戻しに動いて、ドル円は109円から111円近くへ。ゴールドは1,290ドルから1,270ドルへと週初から動いています。僕は相変わらずの懐疑派です。何も解決していません。またすぐ北朝鮮がミサイル実験やるでしょう(グアムでないにしても)。

 だからやっぱりこういう下げは逆に投資家にとっては買いのdip(一時的な下げ)だと思います。でもこれはあくまでドル建てのゴールドの話。円建て、当然のことながら、ドル円とドル建てのゴールドの完璧な相殺関係で動きません。そういう意味ではもっとも安定した価値を保っているのは円建てゴールドかもしれません。

ゴールド反落、ドル上昇

2017年8月22日(火)掲載分より

 東京はお盆休みですね。昨日はほとんど電話が鳴らず。おそらく今日までそうなんでしょう。朝イチ1,290ドルから始まったゴールドは、ドルが戻すのに呼応して昨日はほぼ一日だらだらと下がる日となりました。

 トランプ政権の閣僚や国務長官が、あくまで外交を通じて北朝鮮の非核化を図ると、トランプ大統領の過激発言とバランスをとるためのような発言をし、また中国が北朝鮮からの主な商品の輸入を禁止したという発表もあり、マーケットは若干の緊張緩和となったようです。しかし実質的脅威はまったくなんら解決したわけではありません。これまで何度も書きましたが、北朝鮮問題にマーケットが慣れること、飽きることは非常に危険だと思います。 

金密輸阻止へ罰金重く

2017年8月15日(火)掲載分より

 今朝の日経に出ていました。とうとう対策が取られることになりましたね。罰金の上限を上げるということですが、消費税法だけではなく、関税法での罰則も厳しくするらしいです。それで少しはこの波が収まることになればよいのですが。