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 2019年1月29日~30日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが決定されました。『FOMC議事要旨』によれば、景気の下振れリスクが高まったことが、据え置きの理由だったようです。加えて、将来の金融政策の指針もハト派的な内容に変更し、利上げの終了を示唆しました。一方、連邦準備制度理事会(FRB)保有資産圧縮の停止については、近く公表するのが望ましいと述べました。

 

【ポイント1】1月のFOMCはフォーワードガイダンスを変更

政策金利は据え置き

 FRBは1月29日~30日に開催したFOMCで、政策金利(FFレート)を据え置く一方で、将来の金融政策の指針(フォーワードガイダンス)を従来の「幾分かの、さらなる利上げが妥当」から、「利上げの有無を判断するうえで、委員会は辛抱強くなれる」に変更しました。

 

【ポイント2】景気の下振れリスクが増大

FRB保有資産の売却、すなわちバランスシート縮小を今年後半に停止へ

 公表された『FOMC議事要旨』によれば、フォーワードガイダンス修正の背景として、世界経済、特に中国と欧州経済の想定を上回る成長の鈍化、国内における財政刺激策の急激な効果縮小、金融環境のさらなる引き締まりといった“景気下振れリスク”の増大があったもようです。このほか、米連邦政府機関の閉鎖、英国の欧州連合(EU)離脱問題、貿易摩擦の激化等の国内外政治に関する不透明感の高まりも指摘されました。

 FRBは今年内に保有資産の残高縮小、すなわちバランスシートの縮小を停止すると見られますが、この件については、ほぼ全ての参加者が近い将来に公表することが望ましいと表明しました。

 

【今後の展開】利上げは打ち止めへ

『FOMC議事要旨』は、金融当局の政策スタンスが明確にハト派に転換したことを示す内容でした。インフレ率が低い水準で安定していることを踏まえると、FRBが利上げを再開する可能性は、ほぼなくなったと考えられます。

 利上げ打ち止めを示唆する等、議事要旨の内容はハト派だったにもかかわらず、株価、債券相場は、小動きにとどまりました。ともに、ここ数カ月の間に上昇してきたこと等から見て、利上げ停止は織り込み済みだったと考えられます。